提言力の強化へ
私ども「日本通訳案内士団体連合会」(略称・通団連)は、昨年10月に全国の通訳案内士団体が集い、発足いたしました。北は北海道から南は九州・沖縄に至るまでの14団体が現在参加しています。
設立目的は(1)通訳案内士の地位の保全・向上(2)通訳案内士に係る現在および将来の問題・課題の分析・解決(3)インバウンド・通訳案内士業界の発展への寄与(4)日本を代表する組織を目指し、グローバルな対応も視野に入れた観光立国および国際親善への貢献―を掲げています。
1949年の「通訳案内士法」施行以降、日本の通訳案内士(通訳ガイド)は、その献身的な業務遂行によって訪日旅客のハートをつかみ、日本および日本人への印象・評価を高め、親しみを覚えてもらって経済振興と国際親善に大いに貢献してまいりました。
2003年の観光立国宣言以降は観光が重要な国家戦略となり、2019年には3千万人を超える訪日旅客を迎えるまでになりました。通訳ガイドもこの間、登録者数2万6千人の全国通訳案内士に加え、多くの地域通訳案内士の参加を得ました。
そのような中、これまで最もインバウンドを支えてきた1人である通訳案内士の提言機能が弱く、またその経済的基盤もぜい弱であることが判明してきました。そこで、通訳案内士が所属している団体を通じて全国の声を聞き、提言と要望を取りまとめて、政府ならびに関係先に働きかけを行う組織設立への機運が高まったのです。本連合体の組織化に関しては、2016年観光庁主催の有識者会議「観光庁の通訳案内士制度のあり方に関する検討会」においても提言され、関連業界からも望まれていたものでした。
一昨年1月からコロナ禍が世界を襲い、日本へのインバウンドもこの24カ月途絶えてしまったため、通訳ガイドは「失業」状態が続いています。残念ながら、「転廃業」される方もかなり出てきました。オミクロン株による第6波に見舞われ、今後どれぐらい観光面での鎖国状態が続くかの見通しも現状立っていません。
こんな今だからこそ、当連合会はインバウンド復活後の観光立国復興を目指すために、全国の通訳ガイドの声を聞き、全員が元気にやりがいのある仕事に戻れるよう、しっかり国と地方自治体および関連業界への提言機能を発揮していきたいと考えています。「あの時にできていて良かった」と将来言ってもらえるように。
澄川氏