【VOICE】観光MBAが果たす役割 立命館大学大学院 経営管理研究科長・教授 肥塚 浩氏


立命館大学大学院 経営管理研究科長・教授 肥塚 浩氏

観光産業の経営者・経営幹部人材活躍のために

 立命館大学大学院経営管理研究科は、2024年4月より「観光マネジメント専攻」を開始します。学位は「観光経営修士(専門職)」であり、いわゆる「観光MBA」です。これまでも観光経営に関する大学院教育を行っている先達はいくつかありますが、入学定員70人専任教員13人という規模で、観光経営修士の学位を冠するのは、私たちが初めてとなります。観光分野は学部教育では数多くの学部、学科、専攻、コース等がありますが、観光経営を大学院教育で行っているのは、世界のMBAでは数多くあるにも関わらず、日本では極めて少ないのです。

 観光産業における経営者・経営幹部人材養成を行う必要性は以前より何度も指摘されていますが、私たちの取り組みはこの要請に大学院教育として本格的に応えようということです。しかも社会人院生には、講義をすべてハイブリッド方式(教室+オンライン)で提供することから、日本中、時差の問題がクリアされるならば海外からでも受講することを可能にしました。地方のホテルや旅館の経営者・後継者、MICE業界、DMO等で活躍する経営者・経営幹部人材の養成を行います。これが観光業界にどれだけ積極的に必要なものだと受け止めていただけるかは今後の教育研究の実践とその成果によるわけですが、強い関心と期待を寄せていただければありがたいです。

 言うまでもなく、日本の観光産業は、日本の未来を支え、切り開く役割が強く求められており、また、人口減少社会、超少子高齢社会に急速に向かっている地方の持続可能性を高めるために、重要な役割を果たすことが求められています。

 これから観光MBA教育を開始する私どもが申し上げるのは僭越(せんえつ)ですが、観光MBAは私どもだけではなくもっと多く設置されることが必要です。そのためには、次のような課題を解決しなければなりません。

 第1は、観光産業で働くマネジャー層がさらに高度なキャリアを目指し、それを企業側が適切に評価して処遇すること、経営者層がビジョナリーなリーダーとして活躍することが必要です。

 第2は、数多くのマネジャーや経営者が観光MBAをはじめとするMBA教育を受け、ビジネスの共通言語を身につけることです。

 第3に、そうした人材が実務家教員あるいは研究者教員として将来の観光MBAで教育研究を担うことです。

 第4に、産官学連携を大胆に推進し、観光MBAが観光産業エコシステムの一員となっていくことです。

 
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