【VOICE】観光昔ばなし 地域伝統芸能活用センター 会長  中村 徹 氏

  • 2022年11月7日

中村氏

格差の是正から経済の中核に

 私が観光に携わったのは1961年。すでに60年を超える歳月がたった。運輸省(現国土交通省)観光局企画係長というポストで、26歳の時だった。当時は64年の東京オリンピックに来日する多数の外国人観光客にいかに対応すべきか、初体験だけに困難な課題だった。たくさんの東京の有名ホテルが次々に開業したのも対応策の好例である。

 しかし、いわゆる国内観光についてはほとんど行政対象として考える気運はなかった。当時の観光局には国内観光について問題意識はあり、内部的には議論は進めていたが、なかなか現実の施策にはならなかった。

 一つは社会的評価として観光旅行は「物見遊山」として軽視されており、これをサポートすることは考えられなかった。現実にも宴会を主目的とする団体旅行(職場の親睦旅行、お得意さまのインセンティブ旅行などが好例)が大部分で、このままでは行政目的足り得ないことは明らかであった。そこでわれわれは旅行の質の変化と地域経済の寄与という面から国内観光の在り方を考え直すこととした。

 第一の質の変化では、消費者保護という見地に立つことにした。このため、団体宴会旅行を見限り、当時急速に普及していた自家用自動車のことも考慮しながら、個人旅行(家族旅行、趣味旅行、友人旅行など)をサポートしていこうとしたのである。旅行での満足がそのまま人生の満足にという思いである。「健全な旅行の促進」とはそういう意味を込めている。

 もう一つは、地域経済における観光の重要性である。今や観光なしでは経済が成り立たないところも数多い。当時は「地域格差の是正」のためといっていたが、現在は「地域経済の中核」といえる。それだけに地域ごとに独自の目玉が必要となる。その目玉が多くの場合、地域伝統芸能である。

 地域伝統芸能は元来、「祭り」と結び付いているが、祭りは地元の一体感を生む。祭りの日だけ帰郷する人が多いのは祭りの効果である。同時に、祭りは観光の目玉として集客力がある。他方、祭りの日は地域がにぎわい、観光客の集客を困難にする。この矛盾の解決は難しい。

 そこで提案だが、私どもセンターが県、市と共催している行事のように、祭りの日ではない日に祭りを実施したらどうだろう。行政、経済界、町の芸能団体などが総力をあげて本当の祭りと同じことを別の日に観光客のために実施するのはどうだろうか。

 地域の物産展も同時並行的に実施すると一層効果的である。もちろん、交通機関の協力も必要だし、広報も集客のために絶対重要である。この提案は経験による一私案だが、いろいろ良い案があるのではないか。

 
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