【VOICE】観光と地域、自然 北こぶしリゾート 代表取締役社長 桑島大介氏


桑島社長

「クマ活」でお客さまと共に知床の自然を守る

 世界自然遺産、知床。

 「流氷」が訪れる南限であり、それにもたらされる豊富な栄養によって大型哺乳類が数多く生息する知床半島は、その壮大なスケールの生態系と生物の多様性、管理体制が評価されて2005年に「世界自然遺産」に登録されました。しかし、「世界自然遺産知床」を象徴とするヒグマと人間との関係が限界を迎えています。

 知床半島は世界有数のヒグマの高密度生息地であり、ヒグマウォッチングクルーズの運航などその存在が観光資源にもなる一方、道路沿いに出没したヒグマを見るために発生する渋滞(ベアジャム)や写真を撮影するための過度な接近や餌やり等の危険行動が目立ち、人身事故がいつ起きてもおかしくない状況で、われわれ住民は危惧しております。また、このような危険行動に慣れたヒグマが市街地へ出没した際には、原因が人間側にあっても、ヒグマの命を奪うという悲しい結末を迎えるのです。

 私たち「北こぶしリゾート」はこの地に創業して60年以上、これまで企業経営を続けてこられたのは、まぎれもなく知床の自然があったからこそ。その恩返しの意味も込めて2020年から「知床を、つづけていく。」をスローガンに、「知床」の象徴でもあるヒグマを守り共存を目指す活動「クマ活」をスタートしました。地域で野生動物管理を行っている団体をパートナーに、ヒグマの市街地出没を防ぐための草刈りやヒグマを人の生活圏に誘引してしまうゴミを拾うゴミ拾い、「ヒグマがいたら車から降りない」というような知床での基本的なルールを伝える普及啓発等、さまざまなアクションを起こしています。

 ヒグマと人間との共存をイメージして作られたロゴマークは、ヒグマと人が向かい合ってハートの形となっており、活動の象徴となるだけでなく、多くの方に活動を伝え仲間を増やすことにも役立っています。また、このロゴマークをあしらったグッズを参加者が身に着けることで、連帯感も高まり皆一丸となって活動に取り組むことができます。現在、活動の中心は弊社スタッフですが、地域住民や関係団体の協力も得て活動は徐々に広まってきていると実感します。さらに21年からはCSV(Creating Shared Value・共通価値の創造)の要素も取り入れ、社会問題の解決と経済活動の両立を図っており、多くの方々に参加いただけるようにと考えています。クマ活の広がりが結果として社会問題の解決につながるよう、これからも「知床」の地で活動し発信していきます。

桑島社長

 

 
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