商品造成に顧客目線を
日本の観光立国の実現は「旅ナカ」が鍵を握っていると考えています。そして日本の旅ナカには、即時予約確定など世の中で当たり前となっていることを実現していく顧客目線のアプローチが重要となっていくと考えています。
弊社はドイツに本社がある、世界最大級の旅ナカOTA(予約サイト)です。いままで累計7千万人以上のお客さまの予約を世界中で取り扱ってきました。主な利用者層が欧米豪の旅行者の弊社サイトの日本における予約は10月のインバウンド解禁から急速に戻ってきており、2019年の水準をすでに上回っています。
私は国内外のホテルOTAや旅行予約比較サイトなどで旅行商品のデジタルでの流通に長年携わってきましたが、旅ナカはホテルや航空券などハコモノの旅行商材と比較しても商材の幅が非常に広く、ツアーの集合場所などホテルなどにない要素のある複雑な商品が多いため、オンラインでの販売にはまだまだ多くの課題があります。
日本においても旅ナカ体験はコロナ禍に造成されてきましたが、その多くが即時予約確定に対応できない商品であったり、催行の何日も前に締め切りになってしまったり、月に数日しか催行していなかったりと、いまある商品・いまできる形での商品造成、つまり予約のしにくい商品が多くなる傾向があります。
弊社のデータでは40%以上のお客さまが旅ナカで当日予約を行っており、即時・直前予約は旅ナカ体験をインターネット上で販売する上で欠かせない条件となってきています。
普段の私たちの生活を振り返ってみると、ホテル予約から航空券予約、映画のチケット、レストランの予約、タクシーの配車などありとあらゆる予約において、即時予約確定が当たり前となっているにもかかわらず、旅ナカ体験はいまだに予約の確定に時間を要することが当たり前となっています。遠方から長い時間をかけて日本を訪れる訪日外国人旅行者の目線になって考えると、貴重な滞在の1日を予約の確定を待つことになったり、当日ほとんどのものが予約できない状況に直面します。
ガイドやドライバーなどの人が商材であることの多い旅ナカ商品でこの課題を解決していくのは非常に難しいため、テクノロジーの活用と既存のやり方にとらわれない柔軟な発想で解決策を考えていくことが必要不可欠です。
お客さまのニーズを捉えて満足いただける方法を実現していくマーケットインのアプローチこそが「高付加価値」につながっていき、世界の観光市場における日本や日本の各地域の優位性にもつながり、観光立国を実現していく鍵だと考えています。