富士のふもとの新たな取り組み
日本一の名峰・富士は、静岡・山梨両県にまたがり、静岡県側の周辺4市1町では、それぞれ富士山を中心とした観光戦略のもと観光PRや誘客などの活動を行っており、今回、明日に向けて動き始めた新たな取り組みについてご紹介させていただきます。
富士山周辺の観光の主力商品は富士登山であり、地域の観光を語る上でシンボル的な意味合いを持っており、高齢化が進んだ今日、より多くの皆さまに富士山を楽しんでいただくためには、従来の登山中心から目線を変えた楽しみ方が重要となっております。
また、新型コロナ対策等による山小屋利用の制約は登山者の減少となり、宿泊を伴わない6合目以下の観光的な来訪者の減少にもつながることが懸念されており、ウィズコロナにおける両者を踏まえた新たな富士山観光が課題となっております。
一方、周辺市町の行政・観光団体の活動状況に目を移しますと、どのまちも同じ富士山を観光の目玉に据えているものの、各行政区域単位の取り組みが基本となっており、目的志向に立った広域観光の展開が重要性を増しております。
これらを踏まえて静岡県側富士山周辺4市1町の観光団体は、行政界を意識することなく富士山観光を一体的に推進する組織として、「しずおか富士山利活用推進協議会」を昨年4月に組織し、観光庁所管の「地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進に向けた実証事業」へのエントリー・採択を受け、「富士下山のすゝめ」と題した事業を実施しています。
この事業は、日本一の頂を目指すハードな登山から、バス・タクシー等で行ける富士山の5合目を起点に、本格的な登山を伴わない6合目以下の下山路を中心とした複数のコースで富士山の大自然を満喫していただき、温存した体力は下山後に周辺市町での「泊まる・食べる・遊ぶ」ことに使っていただくものです。
さまざまな回遊プランの組み合わせにより、年間を通じた富士山エリアでの楽しみ方を多くの方に知っていただけるように取り組みを進めており、新型コロナにより冷え込んだ観光需要の一刻も早い回復を目指すとともに、超高齢社会におけるアクティブシニア層や今後のインバウンド需要に対応した「しずおか富士山」エリアでの着地型プログラムの商品化にもつなげるものです。
依然、非常に厳しい状況下ではありますが、このような将来につながる事業の積み重ねにより、日本一の富士山へ多くの皆さまにお越しいただけるような地域づくりを進めてまいります。
土屋専務