【VOICE】中小旅館の現状と今後 ジャパニーズ・イン・グループ 会長 福田金也氏

  • 2022年8月2日

ジャパニーズ・イン・グループ 会長 福田金也氏

外客受け入れに一層の独自色を

 ジャパニーズ・イン・グループ(以下JIG)は1979年に「外国人客に宿泊施設の提供を通じて日本文化および日本人の生活習慣の理解を深め、国際親善に寄与すること」を目的に設立された中小旅館の集まりです。この外国人をターゲットとした中小旅館がコロナ禍で危機に瀕(ひん)しています。

 2020年1月に初めて国内で感染者が確認、2月には大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号で感染が確認され、テレビでコロナの言葉を聞かない日がなくなりました。4月に7都府県に緊急事態宣言が発令、一気に宿泊客がなくなりました。外国人をターゲットとした施設にとって桜の季節は1年で一番の繁忙期、激震が走りました。

 でも「秋ごろになれば収まるだろう」との見方が大勢でした。観光業界への支援策として7月から始まった「Go Toトラベル」も10月からは東京も加わり本格始動、JIGも3密を避けるためのガイドラインを英語で作成、在日外国人への誘客にも取り組み、受け入れに備えます。しかし12月に変異株が英国で発表され2021年2月に2度目の緊急事態宣言発令、全ての国・地域からの新規入国も停止されます。

 潮目が変わったと思いました。中小旅館であっても固定費や人件費はかかります。最近新築や改築を行い多額の借金が残っており融資を断られるケースや、後継者がなくこれを機に廃業する施設、自己資金が尽き新たな借り入れをする前に廃業する施設等現れ、会員の減少に歯止めがかかりません。コロナ発症前の2019年訪日外客数3188万人、順調に経営を伸ばしていた施設だけに残念です。訪日外国人客の割合が高かった施設ほどダメージは大きく、日本人客へのシフトも難しい状況です。

 2011年東日本大震災以降海外からの予約もインターネットの予約サイトが主流となる中、JIGは顔の見える宿を目指してPRし、外国人客の主流である「宿は旅の通過点」から「宿が旅の目的」となるよう努めてきましたが、今後は一層独自色を出していく必要があります。弓道場があり主人が師範で外国人が弓の体験をできる宿、サイクルツーリズムを通じて外客誘致に成功している宿、等JIGには特色のある施設が多く、コロナ後には訪日外国人客に喜ばれること必至です。

 富裕層に目を向けることも大切ですが、中小旅館が外国人の宿泊先として必要不可欠な存在であることも認識してほしいと思います。

 

 
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