【VOICE】ガストロノミーツーリズム世界フォーラム 国際観光日本レストラン協会 会長 安田眞一氏


安田会長

世界のメッカとなるよう政府も対応を

 国連世界観光機構(UNWTO)主催の「第7回ガストロノミー・ツーリズム世界フォーラム」が、本年12月13、14、15日の3日間、奈良県を中心に開催予定です。当初6月開催予定でしたが、残念ながらコロナ禍で12月に延期となりました。

 2015年、スペインのサンセバスティアンで第1回目が開催され、ペルーのリマ、タイのバンコック、ベルギーのブルージュ、そして今回が第7回目に奈良県ということになりました。まさに美食のツーリズム世界フォーラムで、日本の食文化を世界に発信するまたとない一大チャンスです。

 コロナで明け暮れた苦しい3年間でしたが、日本の観光の一翼を担い、日本の食文化の雄と自負しております一般社団法人国際観光日本レストラン協会も、全面的にこの一大イベントを盛り立てていきます。

 しかし、世界各地で大きな事件が起きています。その一つは、ロシアのウクライナ侵攻です。エネルギーや食糧危機はもちろん、航空路が制限され、ヨーロッパ方面への旅行計画の変更を余儀なくされています。

 もう一つは、米国議会下院議長ナンシー・ペロシ氏の台湾訪問に端を発する、中国人民解放軍の実弾演習です。氏が台湾を離れてから1週間台湾を取り囲み、6カ所の海域空域を閉鎖しての軍事演習で、日本の排他的経済水域(EEZ)内に5発の弾道ミサイルを打ち込みました。中国は何と!「日本のEEZなど存在しない」とまで言っております。「台湾有事は日本有事である」という故安倍晋三氏の言葉通りになりました。

 9月27日に故安倍元総理の国葬儀が予定されております。199の国と地域から要人が来日し、弔問外交が繰り広げられます。そしてその2日後から、日中国交正常化50周年の式典や会合がさまざまな分野で計画されております。

 いずれも日中両国の相互理解と友好促進を目的としています。果たして、EEZ内に弾道ミサイルを着弾させるような国と、心から50周年をお祝いなどできるものでしょうか? ポストコロナに、インバウンド・アウトバウンドを含め観光業の全面的な回復を夢見ていたわれわれにとって、衝撃的な出来事です。

 観光は平和で、安全で、相互の信頼関係の上に成り立つものです。観光にとって平和は絶対的な前提条件であります。一説に、5年後の27年8月1日に中国人民解放軍創設100周年を迎えるとのことで、台湾有事の可能性が危惧されています。将来、そのような悪夢が現実のものとならぬよう、日米豪印の国際協調により、インド太平洋の平和維持の枠組みをしっかりと造り上げることが急務であると考えます。将来にわたり、観光立国日本が、ガストロノミー・ツーリズムのメッカとなりますよう、日本政府の早急な対応を望んでやみません。

安田会長

 
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