【VOICE】これからの旅館・ホテル、観光産業 日本ホテルレストラン経営研究所 理事長 大谷 晃


大谷理事長

「ヒューマニティ」人間性尊重精神へのシフトを

 私事ではございますが、令和3年、秋の叙勲に際しましてはからずも瑞宝単光章受章の栄に浴しました。これもひとえに皆さまの長年にわたる心温かいご指導ご支援の賜物と深く感謝申し上げます。今後は、この栄誉に恥じることなきよう一層精励し、いささかなりともご芳情報いたいと存じますので何卒倍旧のご厚誼(こうぎ)ご鞭撻(べんたつ)を賜りますようお願い申し上げます。

 昨年、一流ホテルマンの一流介護施設への1年間の期間限定、在籍出向が話題を呼びました。

 これは当法人が提案したスキームで、目的は三つ。第1に、コロナ禍でホテル利用客激減による人件費の負担軽減、第2には、介護現場における究極のホスピタリティの習得、第3は、超高齢化社会に向けた高い接客・接遇技術の実践です。

 大変驚いたのは、出向者の大半者が「介護職員初任者研修資格」や「実務者研修資格」の取得も希望しているということです。出向したホテルマンたちは、改めて物事の本質、日本の現状、これからの日本を見つめ、何が重要で何が必要なのかを、日々理解を深めているように見えます。

 間もなく、一部の方が1年間の出向が終了し、当法人より「接遇介助士 ホスピタント」(特許申請中)の資格を認定いたします。

 出向を終了した方々には、認定インストラクターとして、全国に「接遇介助士 ホスピタント」の理念を伝え広げてもらう指導者となってもらい、これからの業界の発展のため大いに活躍していただく予定です。

 これからは、人間の本質である「共により良く生きる」ということを産業全体が考え、行動していくことが重要です。東京オリンピック・パラリンピックが決定した時に、従来の「気の利いた“サービス”」から「心からのおもてなし“ホスピタリティ”」にフェーズが変わりました。そしてこれからは「“ヒューマニティ”人間性尊重精神」の時代に突入です。

 この先の旅館・ホテル、観光産業では、高齢者や障害者、国籍、LGBTQに対して分け隔てない「おもてなし」が求められます。そのためには、新たな思考が求められ、新たな接客・接遇の知識や技術を身に付けることが重要になり、ヒューマニティあふれる人材を育成する必要があります。

 ホテル・旅館・観光に携わる全てのスタッフが「ヒューマニティ」という意識を持ち、お客さまに接することが重要なのです。

 知識や技術だけではなく、お客さまの人間性尊重精神を持ったスタッフを「接遇介助士 ホスピタント」として、当NPO法人では、活動を支援していきたいと思います。

大谷理事長

 
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