【VOICE】いまあるものを資源化 鹿沼市長 佐藤 信 氏


鹿沼市長 佐藤 信 氏

日常が魅力のまち

 鹿沼土の鹿沼市は、いちご王国栃木県にあって「いちご市」を宣言したいちごのまちです。東京から北へ100キロ。世界の日光と餃子(ギョーザ)の宇都宮の間に位置しています。関東平野が日光連山と出会う場所に当たり、標高約90メートルから1500メートルまでの変化に富んだ環境を持つほか、高原を源とする幾筋もの川はいずれも清流として知られています。その昔、日光東照宮修営に集まった職人の技から生まれた彫刻屋台と、その晴れ舞台である鹿沼秋まつり(重要無形民俗文化財・ユネスコ無形文化遺産)が市民の自慢です。

 本市にはおよそ190軒のいちご農家があり、その品質は高く評価されています。生産量全国1位の栃木県で、生産量トップではありませんが、高度な栽培技術と丁寧な作業から生まれるいちごに、市民は自信と誇りを持っており、いちご市宣言に続いて「いちごの‘聖地’プロジェクト」が進行中です。

 さて、本市の総合計画では、日常的に楽しめる資源を効果的に活用し観光振興を図るとしています。その一つ、前日光県立自然公園は関東各都県から人気のエリアです。ここを中心に市内には登山対象の山が32座。いずれも低山で日帰りが可能な上、降雪もなく通年で楽しめます。山岳資源を生かす目的で登山ガイドを作成したところ、1万部がすぐに消え、増刷を迫られました。この、市内どこからでも見える山への登山客はコロナ禍でも増加中です。

 また、本市の清流はいずれも好釣場として知られます。春のヤマメ、初夏のアユの解禁には多くの太公望が訪れ、にぎわいはシーズンいっぱいまで続きます。特に来訪者は、市街地の真ん中にある大型店舗の前で型の良いアユが釣れることに驚きます。

 地方のすべての自治体同様に、本市もその日常は都市生活者の非日常であり、観光の対象です。しかし、住民はなかなかその魅力に気づくことができません。ありのままのポテンシャルを生かす観光振興では、観光情報を市内へも発信する必要があります。

 ところで、シウマイで有名な崎陽軒の初代社長、野並茂吉氏は本市の出身です。この縁からシウマイを生かす取り組みが始まりました。現在65の事業所がユニークなシウマイ関連商品を提供し、本市の新たな日常を形成しています。

そういえば、本市を走る路線バスが話題になっているそうです。今ではほとんど残っていない昭和の製造だそうで、カメラを向ける人が増えました。また一つ、日常から予期せぬ資源の出現です。

 

 

 
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