
群馬県 地域創生部文化振興課 温泉文化推進主監 山中 真氏
今こそ「ONSEN」を世界共通語に!
皆さんは「温泉文化」といったら何を思い浮かべるでしょうか。お湯の効能、浴衣、和食、女将・仲居さん、畳の部屋、布団、温泉街…。温泉には、歴史や信仰のある温泉地や湯治文化、旅館でのもてなしなど、古き良き日本の伝統が残されています。まさに「温泉文化」は、衣食住の全てが凝縮された、日本国民全体の幅広い生活文化であり、世界に誇るべき文化です。
しかし、現在、「温泉文化」を守り伝えていく役割を担うべき国内の温泉地や宿泊施設は、人口減少・高齢化・後継者不足などにより減少傾向にあります。新型コロナウイルスによる需要減は回復しつつありますが、働き手不足に加え、コロナ禍での赤字経営による債務返済など、厳しい状況に置かれていることに変わりありません。
「温泉文化」を次代へと守り伝えていくためには、温泉の文化的価値を見つめ直し、温泉地を再生させることで、担い手である温泉地で働く方々に一層の誇りと希望を持っていただくことが必要です。
そのため、日本屈指の温泉県である群馬県では、多くの関係者の皆さまと連携し、「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産登録へ向けた取り組みを進めています。
平成30年に群馬県の温泉団体や県議会議員による草の根的な活動から始まったこの取り組みも、その後、全国的に活動の輪が広がりました。昨年11月には、自公国会議員による「『温泉文化』ユネスコ無形文化遺産登録推進議員連盟」と、登録を応援する「知事の会」が発足しました。さらに、今年4月には、民間団体主導の動きとして、「全国推進協議会」が設立されました。この全国推進協議会では、温泉好きな著名人の方にもご協力いただき、シンポジウム等さまざまなイベントを計画していく予定と伺っており、今後、さらに国民全体を巻き込んだ大きな動きとなる可能性を感じます。
こうした動きが功を奏し、6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2023」(いわゆる「骨太の方針」)には、温泉文化を構成する「温泉」や「旅館」などが「文化資源」として盛り込まれました。これは画期的なことであり、登録に向けた大きな一歩になるものと考えております。
この取り組みを通じて、日本固有の「ONSEN」を世界共通語としてブランド化を図り、温泉地の活性化、ひいてはわが国の経済活性化へとつなげていきたいと考えています。
登録に向けては、まだまだ越えなければならないハードルは多いと思います。これからが勝負所ですので、引き続き関係の皆さまと連携しながら、早期登録実現に向けて、精力的に活動してまいります。
群馬県 地域創生部文化振興課 温泉文化推進主監 山中 真氏