【食と観光 日本の新たな魅力58】たかがジビエ、されどの味付けが 山上徹


 鍋料理をおいしく食べるには、具材の良否だけでなく、煮汁、たれ、薬味などの割り下の調味料が重要なポイントとなる。割り下とは割り下地の略語。それは煮だし、スープなどをみりん、砂糖、醤油などの調味料を適宜に調合した汁をいう。

 調味料の割合により、濃い割り下と薄割り下がある。濃い割り下はすき焼き、柳川鍋、鴨鍋、親子丼・深川丼などに使われる。一方、淡白な薄割り下は寄せ鍋、魚すき用でつゆ、だしと呼ぶ。

 関東人は一般にせっかちな気質で、既に味付けされた割り下を好み、関西ではお客自身が砂糖、醤油などを調合する味付けを好む。しかし、今日、市販の出来合いのものか、または店独自の割り下が歓迎される。

 最近、多くの里山では、猪鹿鳥(いのしかちょう)などの野生動物が異常繁殖し、山林・田畑では被害が続出中だ。よって、捕獲した猪鹿鳥を地域ブランドのジビエ肉(加工品も含む)として売り出し、村おこしに有効活用したいと考える自治体も多い。

 猪鹿鳥のジビエが畜肉のおいしさに優るには、ジビエ肉のみを売るよりも、独自の割り下プラス地元の特産の食材とのレシピ開発をし、抱き合わせ販売が効果的だ。抱き合わせ販売は村全体のイメージをも高め、その波及効果が大に。

 たかが猪鹿鳥。されど地元固有のジビエ料理の味が「超うまい」とされ熱烈なフアン層が増えると、その結果、ジビエのブランド力も必然的に高まり、村おこしは間違いなしかも。

(梅花女子大学教授)

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