【道標 経営のヒント 308】ハイブリッド厨房で生産性を向上させよう 佐々山 茂

  • 2021年11月24日

 国際観光施設協会と日本旅館協会の共催で行ったハイブリッド厨房の実証実験の結果報告です。ガスコンロ、IHコンロ、多機能調理器の3機種を使って旅館の調理長が湯沸かしから始まり、かぼちゃの炊き合わせ、肉野菜炒め、魚の煮つけを調理する過程で、朝から7時間掛けて(1)調理時間(2)ガスと電気の消費エネルギー(3)CO2排出量(4)温熱環境(5)試食の5項目のデータを取りました。

 調理時間はガスコンロに対してIHコンロが湯沸かしでは3分の1、魚の煮つけでは2分の1で済みましたが、肉野菜炒めでは同じでした。IHコンロは特に煮物類の調理に向いているようです。

 消費エネルギーとCO2排出量はIHコンロが4分の1と少なく、温熱環境はPMV環境測定で計測しIHコンロが優位でした。火の熱を利用して調理するガスコンロに対し、IHコンロはIH(Induction Heating)と呼ぶ電磁誘導加熱の仕組みを利用して調理します。ガスコンロは火の熱によってコンロ周辺も熱くなりますが、IHコンロは電気によって調理器具の内部のみが熱くなるため、周辺が熱を持つことがありません。サーモカメラの熱画像からガスコンロは周囲に熱が広がり、IHコンロは鍋だけに熱が伝わっている様子がよく分かりました。

 9名で行った試食のアンケートでは有意な差が出ませんでした。今回は10人分で多機能調理器には少な過ぎたために比較データが取れませんでしたが、大量調理には効率が良いことが分かりました。

 調理長は「IHコンロは火が見えないので炒め物のタイミングを取るのが難しかったが使い慣れれば問題がない。ハイブリッド厨房で良いとこ取りをするのが一番」との感想でした。

 IHコンロはイニシャルコストが高い分、清掃がしやすく作業環境が改善されることでペイするかが課題です。旅館の食事提供は料理と食器の移動に時間と労力が掛かることが問題で、その解決にはお客さまの近くで調理することだと思います。客前料理には調理時間が早く、余分な熱を出さず、清潔を保てるIHコンロは向いていますし、調理人が食事の様子が分かればタイミングよく提供し、食品ロス削減にもつながると思います。

 停電を考えて1台のガスコンロを残してハイブリッド厨房にすることを薦めたいです。ガソリン車がEVに取り替わるときに、厨房も効率の良いIH機器を導入し、ハイブリッド化することは食の改善に役立つと思い、今回の実証実験の結果が現場で携わる方の考える資料になれば幸いです。

 
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