【道標 経営のヒント 306】新世代ファッション、幕開け 小倉理加

  • 2021年11月11日

 先日、雑誌のインタビューでコスチュームデザイナーの小泉智貴さんにインタビューする機会を得た。名前でピンとこない方も、東京五輪の開会式で歌手のMISIAがまとっていた、あの“かき氷ドレス”を創作した人といえば分かるだろう。

 五輪で、一般の方への認知も広まったが、実は彼の評価は、海外での方が高い。最初に彼の真の実力に注目したのも海外のスタイリストだった。その物語は、まさに、シンデレラストーリー。2018年に、東京で開催されていたファッション・ウィークに出品されていた作品がインスタグラムにアップされたことが縁で、ファッション界屈指のスタイリストであるケイティ・グランドの目に留まったのだ。そこからSNSを介して、即日、翌年2月に開催されるニューヨークでのファッションショーが決定。ショーは大成功を収め、フィナーレを飾った十二単や袴をアレンジしたドレスはメトロ美術館のパーマネントコレクションに収蔵され、一夜にして世界的デザイナー、トモ・コイズミが誕生した。

 彼のスタイルを象徴するのが、多彩なオーガンジーのフリルが彩るふんわりとボリュームあるドレス。驚くことに、この素材は誰でも購入できるものが使われている。

 「日暮里の生地店で見つけました。当たり前の素材をどう料理するかが腕の見せどころなので、身近な素材で取り組んでみました」と小泉さん。

 話を伺ううちに、彼の魅力はこのバリアフリーの感覚であると感じた。

 「最初の8年間は舞台などエンターテインメントの場で活動していたため、いつもそれを見るだろう何万人の人を意識しています。色彩も、子どもが見てもかわいいと思える説明のいらない美しさにこだわっています。奇麗なものを見るという行為は、単純にパワーになる。極めたものを作ったことで、誰かしらの心を動かしたり、楽しませることができたら、何かの役に立っているのではないかなと思います」。

 さらに、独学で学んだ経験から、今は後進の教育に関心があるという。

 「ケイティ・グラントは僕に幸運をもたらしてくれました。その幸運を自分の中だけでとどめておくのは落ち着かない。彼女への恩返しのためにも、自分がユニークなものを作り続けるだけではなく、日本の若い才能を発掘して紹介をしたいと思っています。それが、若者たちへのサポートになると思う。ファッション業界のスピードは非常に早い。晩年になってから、若手の支援を行うのは遅いので、この数年で経験したことを新鮮なうちにシェアしたいと真剣に考えています」。

 新しい日本のファッション界の黎明に触れ、心震えるひとときだった。

 
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