【道標 経営のヒント 300】ハイブリッド厨房と食材ロス 佐々山 茂

  • 2021年9月30日

 9月10日に厨房メーカーのキッチンラボでハイブリッド厨房の実証実験を国際観光施設協会エコ・小委員会と日本旅館協会労務・生産性向上委員会の共催で行いました。

 電化厨房は電力会社とガス会社の駆け引き、調理人の使い勝手の問題、高いイニシャルコストなど課題が多く、旅館では普及が進みません。昨年のホテルレストランショーでハイブリッド厨房をテーマに挙げましたが、今年の7月にデータをとって物事をハッキリさせようと実証実験の話が持ち上がりました。

 日本では75%を占める石炭・LNG・石油の火力発電の発電効率は40~50%で、送配電ロスも5%あり、結果、3分の2近くがロスとなります。家庭のエアコンのように効率が3以上になって初めて割が合い、電化調理器の運用効率がどの程度あるかに注目しました。

 お湯を沸かすだけの比較では意味がなく、実地に近い条件にするために、旅館の調理長が野菜の炊き合わせ、炒め物、魚の煮つけをガスコンロ、IHコンロ、多機能調理器で調理する過程で、エネルギー使用量のリアルタイムの見える化、PMV環境測定、赤外線撮影を各専門家が行い、エネルギー使用量、調理時間、調理人環境と多面的なデータを取りました。

 活動的な調理長に参加を要請し、サブコンの技術研究所の所長が研究対象で参加し、協会の計測の専門家、厨房メーカーなど多士済々の方々がそれぞれの役割を果たしました。

 出来上がりを赤、黄、緑のお弁当用のバランに盛り付け、男性5名、女性4名と年齢、立場の違う人たちで試食し、アンケートを取りました。現在詳細分析中ですが、電化調理器は調理時間が短く、エネルギー効率が思った以上に良いことをデータが示し、試食の結果もほぼ引き分けでした。鍋の中が対流することが大切だ、IHは微妙な火加減ができないなどは経験で解消される可能性が見えました。

 個人型となり、大量調理から小ロットで調理回数を増やすには、調理時間の短い電化調理器が有効で、余分な熱の発散がなく厨房環境も改善されます。また多機能調理器はスペースと人員の削減の可能性もあります。

 日本の発電事情からして電化調理機に換えるだけではCO2排出量はさほど削減されません。コンパクトなハイブリッド厨房をホールに近づけ、料理をジャストインタイムで提供することで、もう一つの課題である食材ロス削減にも取り組み、食の生産性を向上するのが最終目標です。

 
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