【道標 経営のヒント 264】「日本温泉名人」の温泉検定を受けました 佐々山建築設計社長 佐々山 茂


 今月初めに日本温泉協会の温泉検定を受けました。温泉名人の結果発表は来年2月ですが、記憶が新たなうちに報告したいと思います。

 仕事柄温泉に関わることが多いのですが、湯量と湯温に注意が行き、成分については設備機器の影響を気にする程度でした。以前タイのチェンマイの温泉施設の調査で温泉サンプルを日本に持ち帰り、試験機関で分析をしたときも詳しい結果については理解していませんでした。今回温泉検定を受けたのは会場が自宅に近いということもありますが、いつも見ている温泉分析表を理解したいと思ったからです。

 講義は10時から温泉総論、温泉医学、温泉観光学、温泉地学、温泉化学、温泉法学と6コマが夕方まで続き、最後にテストがありました。50分で一通りのことを話さないといけないので話す方も聞く方も大変で、最前列で受講しました。

 温泉は滅菌やろ過循環の安心安全の話が優先で、温泉法も禁忌症の表示は求められていますが効能や医学的な見地からの項目については無関心です。昔から1人1リットルの温泉が必要とされ50リットル/分ならば50人収容の旅館ができるといわれているようですが、実際にはそれだけの湯量がある旅館はまれです。そのような現実の中で良い温泉を提供するには温泉の基礎を知ることは重要です。

 検定の翌日に仕事で行った草津の旅館で温泉分析表を見直しました。溶融物質が1キログラム中2.34グラム含まれ、pHが1.85、泉質が「酸性―アルミニウム―硫酸塩・塩化物温泉(低張性酸性高温泉)」と習ったことと照らし合わせ、草津の温泉の効能を再認識しました。

 41度の温泉に15分入ると深部体温が水道水のお風呂よりも0.5度高くなり、それがいつまでもぽかぽかと温かく冷めにくいです。体温上昇効果は(1)疼痛(とうつう)緩和(2)筋・関節拘縮(こうしゅく)の改善(3)血行促進効果(4)免疫力増強効果(5)タンパク質修復機能があると医学博士の先生から教えてもらいました。家でも41度のお風呂に10分以上漬かるようにしましたが、深部体温が上がるのか寝つきが良くなりました。

 温泉は入浴の温度、時間、回数などの入浴方法などを示し、成分によってどのような薬理効果があるのかを具体的に示すことが大切です。旅館にとって温泉は集客効果が高く、その効能を医学的に示し、温泉を良い状態で提供することで滞在型につながると思った次第です。

 
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