【道標 経営のヒント 263】より良いLED照明への着目点 タグ広告プランナー 宮坂 登


 前回、LED照明について触れたところ、どういうことなのか問い合わせがあったので、さらに詳細について紹介したい。

 まず寿命について。LEDは価格が高い分、球切れの心配がない、光源が長寿命というメリットが喧伝(けんでん)されている。多くは3万5千時間から4万時間長持ちするといわれているが、実のところそれは照明器具自身の寿命ではなく、「発光部分」の寿命のこと。照明メーカーはそれについてあまり説明をしていないようだ。

 また、LED電球は高温に弱く、高温に長時間さらされると寿命が縮んでしまう。それだけでなく、自身の発光によって生じた熱でも寿命を縮めてしまう。この点については各メーカーとも改良を続けているようだが、LEDの長寿命を確保するために必要なことは排熱処理能力と電源部の能力に留意して製品を選び直すことだ。

 さらに重さの問題もある。LED照明自体はテレビやPCのような半導体を利用した電子機器のため、発光部分以外に電子回路などのパッケージ部品が組み込まれていて重い。トラブルや故障の原因の多くはその電子部品によることが多いのも事実だ。蛍光灯タイプのものでも安定器を外さないと点灯しないとか、発火事故につながる可能性がある。

 LED電球は従来の白熱電球の約3倍、電球型蛍光灯の1.5倍の重さになる。例えば旅館・ホテルのロビーなどでよく見かけるシャンデリア型照明器具の場合は、照明器具および天井材の強度を確認する必要がある。

 多くの宿はLEDが導入されてすぐに交換を終えたと聞くが、導入したLEDに対して、蛍光灯よりも暗く感じていることが多いのではないか。その際、照度を上げようと試みているようだが、消費電力を上げるとその分寿命が短くなるというデメリットもある。それだけではない。LEDは光束(一つの電球で照らす幅)が狭いため、従来の光源に比べて光が拡散しにくいことにも不満を感じている宿も多いようだ。

 導入したLEDでもう一つ不満を感じるのは演色性。これは色の見え方の指標で、より太陽の光に近いほど演色性が高いといわれている。この演色性を高めると発光効率がダウンしてしまうことはほとんど知られていない。LED製品をよく見ると、「紫外線フリー」という製品があるが、それが従来の電球や蛍光灯よりも演色性を下げてしまっているのだ。光源の広がりを選ぶのか、発光効率を選ぶのかは、空間のイメージを鑑みてのことになる。不満を感じるなら、ぜひ業者さんに相談してほしい。

 
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