【道標 経営のヒント 236】ポスト・ウイルスの鍵は地域活性化 佐々山建築設計社長 佐々山 茂

  • 2020年5月29日

 観光地にとって大きな変換点は、バブル崩壊後の2001年ごろからの団体から個人への客層の変化と2011年の東日本大震災でした。そして2013年にインバウンドが1千万人を超えたころから宿泊業の多様化が顕著になり、民泊問題が生じて旅館業界にも大きな変化の波が押し寄せ、2018年にはインバウンドが3千万人を超える中、豪雨災害、大型台風被害が頻発するようになり、気の休まることがないと思っていた矢先に現れたのが新型コロナウイルスです。

 このインパクトの大きさはいまだ想像すらできません。地球温暖化問題と併せて他人事では済まなくなり、数年後の社会が、世界がどのように変わるのか不安とともに怖いもの見たさがあります。

 まずは密閉、密集、密接の3密対策に取り組み、ポスト・ウイルスでの経済活動を軌道に乗せなければなりません。密閉については風通しを旨にした日本建築とは違う方向で、省エネ対策として高気密高断熱の方向に進んでいますが、都市と違って地方の空気は新鮮でおいしいです。テラスや通路、浴室などの屋外空間を充実させ、新鮮でおいしい空気を味わうことが付加価値向上につながります。最近はその土地の特徴ある景観を見つけてテラスを造ることが多いです。

 密集は個人化が進んでチェックイン、チェックアウトなどは分散化していますが、今でも食事だけは一定の時間に集中しがちです。朝食は7時前から9時過ぎと3時間程度取れれば2回転以上して、分散化することで調理も、ホールも出来たて料理でおもてなしが可能です。そもそも泊食分離にすれば地域での食が多様化して分散します。インバウンドが増えた地域では、街に居酒屋が増えるのです。

 密接については私の子供世代で他人と同室になることは文化として受け入れがたいようです。10帖5名という時代は過去のものになりつつありますが、1室1人ないし2人の時代が目の前です。

 コロナウイルスと共生する社会への変換が問われていますが、過度に進んだ都会化、グローバリズムに警鐘が鳴らされ、過密を作らない社会を目指すには地域活性化に目を向けた取り組みは外せないと思います。地域には天然資源としての温泉と水と空気、そして景観、文化、人情など、その土地に根付いた資産があり、それに光を当てることで観光につながります。最近、設計とはその土地がもともと持っている物語を語ることだと思うようになりました。このピンチから新しいことにつなげたいと思います。

 
 
 
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