【道標 経営のヒント 229】研修では教えてくれない、大人社会の暗黙ルール 九州国際大学教授 福島規子

  • 2020年4月2日

 会社の中にはマニュアル化されてない慣習が多々ある。社会人としての振る舞い方や暗黙のルールは、組織の中で習得していくのだが、中には奇習とも言えるおかしなものもある。

 例えば、稟議(りんぎ)書のハンコの押し方。印鑑を押す枠が横一列に複数ある場合、通常は右端から順番に立場が低い者が押していく。だが、会社によっては、この「押し方」自体にもルールがあるらしい。筆者も最近知ったのだが、部下が右端に押印するときは「左斜めに印鑑を押す」のがマナーだという。これは、次に印鑑を押す上司に対し、お辞儀をしているように見せるのが狙いで、左端にいくにつれ、カクカクとハンコのお辞儀が続く。この習慣の是非は別として、もし、自社の押印欄に左斜めの印鑑が並んでいたら、それに倣うのが組織人としての心得と言えよう。

 また、上司と乾杯するときのグラスの位置にも暗黙のルールがある。部下が上司のグラスに自分のグラスを合わせるときは、そのグラスを上司のグラスの口より下に合わせるのがルールだ。この光景は宴会でもよく目にするので一般的なルールなのだろう。大人社会では「ジブンは気にしないので」という言い訳は通用しない。誰も教えてくれないのであれば、自分で気付くしかないのだ。

 そこで、社会に出る前に少しでも大人のルールを伝えておきたいと、「上司に食事をごちそうになったときの振る舞い方」を学生に伝授した。

 お礼のタイミングは3回ある。1回目はテーブルで財布を出した際に「ここは、いいよ」と上司に制されたとき。一呼吸おいてから「ありがとうございます」とお礼を述べる。このとき、支払う素振りもせずにいきなり「ごちそうになります」というのはいただけない。形だけでも財布を出すのが大人の流儀だ。

 2回目は支払いが終わって店を出たときに、店先で「本日は、ごちそうになりありがとうございました」とお辞儀をして感謝の気持ちを示す。なお、精算時に上司の後ろからレジをのぞき込み、金額を確認するのはご法度。

 そして、3回目が上司と別れたあと。以前は、翌朝、上司の席に出向いてお礼を述べたものだが最近ではお礼のメールを送信するのが一般的だ。 

 言うまでもないことだが、お礼メールは遅くとも翌日の朝一までには送信するのが望ましい。ごちそうになったことへのお礼だけではなく、会話内容についても一言添えるのがポイントだ。

 といったことを学生に丁寧に指導した後、学生を連れて食事に行った。しかし、いつまでたってもお礼のメールが届かない。しびれを切らしてこちらから「楽しいひと時でしたね」とメールを送信したら、冒頭に「こちらとしても楽しかったです」と一言。お詫びもお礼もなく「こちらとしても」とは。対等な物言いに絶句。

 
新聞ご購読のお申し込み  ベストセレクション

 メルマガ申し込み

注目のコンテンツ

第35回「にっぽんの温泉100選」発表!(2021 年12月20日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位別府八湯

2021年度「5つ星の宿」発表!(2021年12月20日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」は?

第35回「にっぽんの温泉100選・選んだ理由別ベスト100」(2022年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2022年度「投票した理由別・旅館ホテル100選」(2022年1月17日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒

観光経済新聞の人材紹介

  • 旅館・ホテルの人材不足のお悩み無料相談はこちら
Visit Us On FacebookVisit Us On TwitterVisit Us On YoutubeVisit Us On Instagram