【道標 経営のヒント 223】オヤジたち、手を洗えよ! タグ広告プランナー 宮坂登


 中国の春節期間中の東京青山。多くの中国人観光客がマスクを二重三重にかけ、有名ブランド店の手提げ袋を抱えて闊歩(かっぽ)していた。聞こえてくる言葉で分かる。都心にはマンションを購入して居住している中国人も多く、中国本土から友人を招いてはショッピングや食事に繰り出しているそうだ。新型コロナウイルスがまん延し始め、日本でも肺炎を発症する人がいるのではないかと騒がれ始めていたことから、なんとなく嫌な思いがして息を止めつつ人混みを避け、そそくさと青山を後にした。

 その午後、某イベント会場のトイレで。用を足した後、手を洗わずに出ていく人を何人も見た。その人たちは会場の立食パーティーに戻り、出席者の面々と旧交を温め、握手を交わしている、その手で。相手は目の前にいる人がトイレで手を洗っていないとは知らない。そしてその手ですしをつまんでいる。遠くから見ていても不快な気分この上ない。人から人へ、心が通じ合う瞬間に目には見えないウイルスが広がっていく。そんな図式が見えるような気がした。

 実は「手を洗わない人が多いこと」を以前からずっと気にかけていた。特に駅のトイレ。10人いたら5人は手を洗わずに足早に出ていく。世に言う「オヤジ」たちが多い。人間が社会生活を営むための最低のマナーだろ!と怒鳴りたくなる。オヤジたちはその手で紙幣や小銭にふれて新聞や雑誌を買い、その紙幣や小銭が次の人たちへのお釣りになっていく。財布から財布へと菌が運ばれていく。

 電車内ではその手でつり革につかまり、そのつり革に他の人が素手でふれる。そしてその手で身の回りのものにふれ、食べものを口に運ぶ…。食堂やラーメン店ではおしぼりのサービスがない店が多い。その手でコショーやしょうゆの瓶にふれ、その瓶に次の客がふれる…。使ったつまようじをそのまま戻すバカ者もいる。

 そんな日常を見ること思うことが嫌で嫌でたまらなかった。ウイルスがまん延していく土壌や環境がこんなにも近くにある。日本を訪れる外国人観光客の多くが「日本はキレイですばらしい」というが、実態を知ったら何というのだろうか。

 公共施設のみならず、多くの人が集う旅館・ホテルでもこの図式は同じだと思う。特に今は、ウイルス対策に神経をとがらせているはずである。エントランスやトイレ、客室などにアルコール消毒液を置いても、すべての客が使用しているかどうか。

 この状況を宿それぞれの「水際対策」で何とか乗り切ってほしいと思う。ウイルスに負けるな!

 
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