【道標 経営のヒント 197】そろそろ、見直しませんか  九州国際大学教授・博士(観光学) 福島規子

  • 2019年7月25日

中規模温泉旅館に宿泊した。その旅館は大手資本が次々と買収を進める宿泊施設の一つで、館内には20周年記念キャンペーンのポスターが貼られ、ポスターの中では料理長がポーズをとってほほ笑んでいた。経営者が変わっても「変わらぬおもてなし」を提供し続けたいという思いが垣間見える。

しかし、変わらないサービスが必ずしも時代の流れや顧客ニーズに合っているとは限らない。良かれと思って続けていることでも、もはや行為そのものが価値を失っていることもある。

例えば、A3サイズにコピーされた「テレビ番組表」。客室の座卓に置いてあるアレだ。「テレビ番組表」を作成するには、まずは新聞のテレビ番組欄をA3サイズにおさまるよう縮小コピーし、印刷用の原本を作成する。旅館によってはテレビ番組欄の脇に「当館おすすめのお土産情報」などが記載されている場合もある。その後、当日宿泊予定表で配布する客室数を確認し枚数分のコピーをとる。コピー終了後は、フロアごとに配布枚数を書いた付箋を貼っておく。

テレビ番組表を準備するのは大概、ナイトフロントで、客室の座卓に1枚ずつセットしていくのはフロント係の仕事だ。

冒頭の旅館でも2泊目の早朝に、客室ドアの下からその日のテレビ番組表が差し込まれたことを考えると、恐らくコピーをしたのはナイトフロントだろう。

しかし、最近では旅館でこの手のテレビ番組表を見ることはほとんどない。なぜならば、客室のテレビをつければ簡単に番組表を見られるからである。テレビのアナログ放送が地上デジタル放送に変わったのは2011年7月24日、ちょうど8年前である。客室のテレビが薄型テレビに代わると同時に、客室からはテレビ番組表が消え、ナイトフロントやフロント係はテレビ番組表にまつわる一切の業務から解放されたのだった。

では、客室のテレビで番組表が見られるのに、なぜ、件の旅館ではテレビ番組表をコピーし続けているのか。無駄な業務を続けるには、何か理由があるのだろうか。

恐らく理由などない。

ただ、前からやっていることを変えるきっかけがなかったか、変える必要性に気付かなかっただけだろう。

旅館の現場には似たような事例が少なくない。

例えば、客室冷蔵庫の飲料補充や客室内の保温ポットの整備などもそうだ。いまやほとんどの旅館で冷蔵庫飲料は重い瓶ビールから軽くて廃棄処分が簡単な缶ビールに代わり、客室内の保温ポットも客自身が水を入れて湯をわかす電気ケトルに様変わりをしている。

昔からのやり方を変えるだけで、担当者の身体的負担はかなり軽減される。特に、高齢者の多いバックヤードの業務改善は必須だ。まずは、長く引き継がれている業務から見直してみよう。

 

関連する記事

前回は、私の社会人人生のベースを作ってくれた伊藤園でのキャリアについてお話しいたしました。今回は、次に入社したリクルートについて話します。私がその後打ち込むこととなる「人…

続きを読む

東京都中央区月島は、言わずと知れたもんじゃ焼きの聖地。「西仲通り商店街」から半径500メートル以内に約70軒以上のもんじゃ焼き店があり、「月島もんじゃストリート」と呼ばれ…

続きを読む

淡嶋神社のひな流し(和歌山市) 私は「奇祭ハンター」として毎月、日本全国へと奇祭旅を行っている。今回の旅の日付は3月3日、ひな祭り。目的地は和歌山市加太にある淡嶋神社だ。…

続きを読む

新聞ご購読のお申込み  ベストセレクション

 メルマガ申し込み

注目のコンテンツ

第32回「にっぽんの温泉100選」発表!(2018年12月15日号発表)

  • 1位草津、2位別府八湯、3位下呂

2018年度「5つ星の宿」発表!(2018年12月15日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」は?

第32回「にっぽんの温泉100選・選んだ理由別ベスト100」(2019年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「泉質」「見所・体験の充実」「郷土の食文化」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

18年度「部門別・旅館ホテル100選」(2019年1月12日号発表)

  • 「料理」「サービス」「風呂」「施設」「雰囲気」のベスト100軒

観光経済新聞の人材紹介

  • 旅館・ホテルの人材不足のお悩み無料相談はこちら
Visit Us On FacebookVisit Us On TwitterVisit Us On InstagramVisit Us On Youtube