【道標 経営のヒント 196】技術者が地域を支える仕組み 佐々山建築設計社長 佐々山茂

  • 2019年7月18日

 親友にパソコンからWi―Fi経由で客室のエアコンを操作できないか相談している。既製品の家電コントローラーを買ってくれば済むのだが、価格が高いしカスタマイズできないからといって秋葉原で各種センサーと基板を買ってきて自分ではんだ付けをしてコントローラーを作った。そして海外のフリーソフトをネットからダウンロードしてシステムを作ろうとしている。

 私の事務所でパソコンのキーボードを打つと試作品のコントローラーが反応し、エアコンが動いた時にはみんなで拍手喝采。電子工作が中学高校からの趣味である彼にとって自分で組み立てるのは当たり前のことらしい。大手電機メーカーの中央研究所からアメリカでベンチャーキャピタルの仕事に関わり、今は関西の大学に転じて今の時代に必要な起業家精神を学生に伝えている。

 学生に一方的に話しても聞いてくれないが、話をしないと逆に聞いてくる。自分から考えて実行しないと身に付かないといい、社員を育てるには自分で仕事をするなと私に言ってくれる。

 彼は会社人としてはリタイア組の年齢だが頭は元気で、まだまだ社会にとって貴重な人材だ。私の仕事仲間で親しくさせていただいている先輩諸氏は70歳前の私よりもかなり上の世代で技術者として第一線から身を引いているが、今でも新しいことに活動的に取り組んでいて頭が下がる。

 技術者は自分の技術を社会の役に立てたいもので、元気なうちは働ける場があると良い。仕事先の宿泊施設では設備担当が定年になる話をよく聞くが、設備のことを知っている人に辞められると途端に困る。その人には次の世代が育つまで、頑張るようにお願いするが、あまりにも時間がない。

 配管の問題点を知り、設備的に問題が起きそうな個所はどこなのか、分かっているのはその人しかいない。実際に設備担当者がいなくなり、経営者も設備に暗く問題を起こす旅館も多い。

 このような状況では地域で技術者を抱えられないかと思う。地域の設備会社に頼んでも最近は忙しくて緊急の対応に間に合わないことが多く、また経費も言いなりになりやすい。

 定年後の技術者が複数の施設を予防的な維持管理、エネルギー管理をすることで浮く利益で人件費は十分まかなうことができる。大手の設備会社に聞くと、そのような人材はなかなかいないというが、適切な待遇でやりがいのある仕組みを旅館組合などを中心に作れないかと思う。

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