【道標 経営のヒント 195】ロゴマークや広告の二次利用 タグ広告プランナー 宮坂登


 取引先から以前、ある会社を営業窓口に制作したロゴマークを二次使用したいとの連絡が入った。そのロゴマークは、採用された段階で金銭譲渡したわけでなく、著作権は当社ブレーンのデザイナーにあるという認識でいた。二次使用していただくことから見積もりを提出し、再採用されることになった。 

 ロゴマークを制作して使用し続けていく場合、問題になりがちなのは制作者側との金銭的なトラブルである。回避するなら、譲渡金を支払って買い取っておくのが望ましい。企業CIなど大がかりなロゴマークの場合には、「著作権の存在証明」の手続きをしておくことをお勧めする。作成時の資料(依頼内容、やり取り、デザインのラフスケッチやデータ類)などを、公証役場に持ち込み、「確定日付」をもらうことで、その著作権がいつ発生したかを公的に証明することができる。

 当社の場合、営業窓口の会社が取引先と何らかの取り決めを交わしているためトラブルを回避できるが、旅館・ホテル側の著作権への認識は驚くほど低い。特に広告やイラストなどの二次使用についての認識が低い。例えば広告制作を外部依頼し、A媒体に出稿した後、全く同内容の広告を自社でサイズを変えてB媒体に出稿するケースが見受けられる。正式にはその場合も二次使用料が必要となるが、宿側はそれを知らず、勝手に転用していることが多い。後日、二次使用されている事実を知っても、トラブルにしたくない、今後取引をしてもらえなくなるなどの意識から見て見ぬ振りをするケースも少なくない。広告は原則として、制作した会社側に帰属するものと法的にも定められている。認識を改めていただけるようお願いしたい。

 イラストも同様である。キャラクターなど、企業イメージアップや商品の販売促進を担うものは看板、ユニフォーム、商用車、名刺、商品パッケージ類、店頭POPなど用途が広いため、将来的にどこまで使用するのか、見極めるようにしている。広告にしろイラストにしろ、信頼関係をベースにした取り決めができればいいと願っている。権利を振りかざさなくてもいいように…。

 動画広告の場合はその著作権について、「動画広告は映画の著作物」「映画の著作物の著作権は映画制作者に帰属」「動画広告においては一般的には映画制作者が広告主となる」と定められていて、宿の動画広告も宿の著作物となる。ただし、使用する写真やイラスト、コピー表現などはクリエイター側に帰属する。トラブルを未然に防ぐためにも法的観点から対処しておく必要がある。

 
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