【道標 経営のヒント 168】食事にまつわる無駄 佐々山建築設計社長 佐々山茂


 仕事柄旅館でおいしい食事をいただく機会が多いが、食事にまつわることで考えさせられることも多い。

 夕食バイキングも増えているが、多くは会席料理で提供される。もともと旅館は大量の会席料理を宴会場で同時に提供する調理システムとしている。個人のお客が増える中、サテライト厨房を造るケースもあるが、基本はメイン厨房で調理して、個人客に出来たて料理を出す工夫を重ねている。

 食器洗浄の調査をして食器の数と種類が多いことに気付かされた。1人当たりの夕食の食器を数えると30から40個にもなり、大きいものから小さいもの、変わった形で洗いにくいものと同じ形はない。焦げ付いた鍋やグラタン皿は洗うには力も時間も必要で、食器洗浄の敵に思える。

 調理場は段取り仕事の調理が終われば、お客の食事が終わるのを待たずに帰り、下膳や食器洗浄は見ていない。1人1食当たりの食器洗浄にかかる人件費、エネルギー費、洗剤費を合計すると200円から、多いところでは400円以上かかる。調理場が食器洗浄まで管理をすれば重ねやすく、壊れにくい物を選び、食器の種類も数も減らせる。

 下水道があればディスポーザが使えるが、合併処理槽ではディスポーザからの排水が処理能力を超え、水分の多い残飯はお金を払って引き取ってもらうことになる。調理場がお客の食べ残しを見れば残食を減らす工夫ができると思う。

 岡山のクライアントの旅館は食事と温泉の評判が良い。先日伺ったときに食器の数が気になって数えると18個とかなり少ない。きれいに盛り付けられた八寸に感心していると、いくつかの小さな器に盛り付ける方がよっぽど楽と調理長が言った。最後にご飯まで食べ終わるとちょうど良い量で、だしがおいしいので鍋の汁までいただくお客が多く残食がほとんど出ないし、調理人も最後まで残ってお客を見送っている。食器もシンプルな形で下げやすく、デザートのときにはテーブルがきれいに片付いている。

 今年の夏に京都の老舗料理店の東京の店で懐石料理を食べたときも同じようにシンプルだが質の高い食器で1品ずつ完食し、きれいに片付けてからデザートが出てきて満足度は高かった。

 調理場が食材仕入れ、調理、食器洗浄、食器の管理、残食の管理など食事に関することをワンストップで管理することで無駄が省ける。食器を見直し、食材ロスを減らし、料理の質を高めるには調理場にも数字で管理する経営感覚を入れるしかない。

 
 
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