行燈旅館を創業して今年6月でちょうど15年になる。初めてホームぺ―ジを開設した時の行燈旅館についての私の思いは今でも変わっていない。その中の一文に「いつの日か東京が世界で一番の観光地になることを夢みて」と、ある。創業当時2003年の外国人旅行者受け入れ数国際ランキングで日本は33位、2016年は世界で16位まで上がってきている。この調子でいくと15年前の夢が私の生きているうちに実現するのも不可能ではないかもしれないと淡い期待を抱いている。
この15年間、東京の観光を盛り上げるお手伝いを少しでもしたいと思い、いくつかの団体に所属した。その中で現在会員数49軒の日本旅館協会東京都支部長を務めて今年で2年になる。
昨年は小池都知事よりこの日本旅館協会東京都支部に初めて補助金事業の話をいただいた。「TOKYO旅館ブランド構築、発信事業」である。初めてであるということと、何分にも準備期間が十分でなかったのが重なり、昨年暮れから今年3月末にかけての約3カ月間でいくつもの難題と決断を迫られ本当に大忙しな日々を送った。予算についての初めての会議の中で小池都知事は「TOKYOの旅館を世界に発信してほしい」という強い気持ちをお持ちだった。そこで海外への発信を得意とする広告会社に事業を依頼し、動画、HPの作成、SNSでの発信を行った。
動画を制作するに当たっては会員施設に協力を依頼して旅館の良さをさまざまな角度から外国人に知っていただくという企画となった。撮影前におおよその説明を受けていたが、出来上がった動画を見た時はとても感動した。素人の私にもプロの手にかかると本当に視聴者が「旅館に泊まりたい」と素直に思うであろうと予測できる内容だった。
結果、動画再生回数は約3週間で英語、中国語、韓国語を合わせ150万回以上となり、Facebookでは9778エンゲージメント(ユーザーからの、いいね、シェア、コメントの総数)を獲得した。
短期間で広告代金を支払い旅館の魅力を発信したこの事業は、自社の広告も満足に出したこともない私には他の事業と比較するのは難しい。しかし、世界の外国人の150万人の目に触れたという事実は満足するに値すると思う。
今期も引き続き事業の継続が約束されている。この事業を実りあるものにするためには会員施設の協力はもとより組合員、制作に関わるスタッフのお知恵をいただきながら、さらなる成果を出すことに今期全力を注ぎたいと思っている。
http://nihonryokan.com/timelessryokan/ ご興味のある方はぜひご覧ください。