【道標 経営のヒント 133】接客研修の現場から 福島規子

  • 2018年3月14日

 山中の一軒家レストラン「久原本家茅乃舎」で予約係の研修を行った。緊張した面持ちで現れた3名のうち1人はベテラン派遣社員で、ほか2名は業務歴3年半と半年のパートさん。いずれも笑顔が素敵な温かみあふれる女性だ。

 早速、客役の教育係が電話をかける。最初に電話口に出たのは業務歴半年のAさん。

 客「○月〇日のお昼を予約したいのですが」。Aさん「ありがとうございます。〇月〇日ですね。お調べいたします。誠に申し訳ございませんが、あいにくその日は満席でございます。……」。

 客はAさんの次の言葉を待っているのか無言。Aさんも席がないと告げたあと、なぜか無言。双方、無言状態が続く。

 「…………」。

 客「あっ、じゃいいです」。Aさん「ご希望にそえず申し訳ございませんでした。また、ご都合がよろしい時にお問い合わせくださいませ。私〇〇が承りました」。

 演技派教育係は、ガシャンと乱暴に受話器を置いた。Aさんは客のいら立ちに気づいたものの、いら立ちの理由を聞くと「予約が取れなかったから」と言うだけでほかに理由はないという。教育係が厳しい顔をして「えっ、本当にそれだけ?」と問い質すが、当人はピンときていない様子。

 Aさんの対応は突っ込みどころ満載で、いままでクレームが出なかったのが不思議なくらいだ。優しい話し方とにじみ出る人柄に助けられてきたのだろう。しかし、代替案の提案もせずに、予約を断ってしまうのはいただけない。他の時間、日にち、曜日を案内すれば、予約が取れた可能性は高い。

 一方、業務歴3年半のB子さんにも課題があった。

 B子さん「お日にちは〇月〇日ですね。お調べします」「時間はお昼でしょうか、夜でしょうか。はい、お調べします」「人数は何名さまでしょうか。はい、お調べします」「お子さまがいらっしゃるので、個室の方がよろしいということでしょうか。はい、お調べします」と、聞くべきことを細切れにして尋ねていく。

 同店ではほかにもアレルギー食材の有無はもちろん、すべての予約客に席札を作成するため来店者全員のフルネームを聞き取るなど聞くべきことは盛りだくさんだ。

 また、料理はすべてコースで提供しているため内容を説明し、コースの種類も決めておきたいところ。簡潔かつ手短に、畳み込むように聞いていくスキルと対応力が求められる。

 予約を受ける時のポイントは「希望日、曜日、時間、人数」を、予約台帳を見る前にまとめて確認することと、希望日が満席の場合は「希望日の前後日」と「翌週の同じ曜日」の空き状況を満席のお詫びとともに提案することだ。さらに、子どもがいる場合、個室の空き状況を室料と一緒に案内できれば、なおいい。

 予約の腕を上げるには自身の対応を録音し、繰り返し聞くことだ。言葉癖などの気づきもあり、かなりの効果が期待できる。

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