【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン392】成熟化時代の開発リニューアル戦略5 青木康弘


 前回に引き続き、円滑に開発リニューアル融資を得るコツについて紹介しよう。国内の旅館・ホテルマーケットも、成熟化の兆候が見え始めており、金融機関も新たな貸し出しに対して慎重になりつつある。しっかりと説明できるよう裏付けを持って融資申し込みしたい。

 8、リニューアルの必要性を目で確かめてもらう

 金融機関は異動が多く、取引先の旅館・ホテルの設備を熟知している担当者は少ない。そのため、設備投資計画を書面や口頭だけで説明しても、必要性について理解してもらうことは容易ではない。

 例えば、専用の食事会場がないために、少数の高齢スタッフで部屋出し対応を続けざるを得なかったり、1日に何度もコンベンションホールのどんでん返しをしなければならなかったり、魅力のない食事会場で口コミ評価が上がらず価格競争に巻き込まれているケースを想定しよう。旅館・ホテルの経営者がいくら熱心に説明したところで、表面的な知識しか持ち合わせていない金融機関を納得させて協力を引き出すのは容易ではない。口で説明するよりも現場を見てもらおう。

 金融機関の支店長とのアポイントメントを朝に設定し、会議前に会場を見てもらうのである。専用会場でないために実力を出し切れない朝食会場や、その後のどんでん作業を行うスタッフの苦労を見てもらうことで、リニューアル投資の必要性を理解してもらおう。

 9、実績ある業者を選定する

 金融機関は開発リニューアルに関係する業者の信用度を非常に気にする。知名度と担当者の実力は必ずしも相関するわけではないが、著名な業者の名前を出した方が開発リニューアル融資を得やすいのは事実である。

 説明は口頭で行うよりも、プロジェクト体制図を作成すると良いだろう。コンセプト作りやデザイン設計、設計監理、施工などの担当業務ごとに、発注を想定している業者の概要や実績を一覧表にするのである。概算見積書と共に、設備投資計画や融資申込書に添付して提出する。発注先を正式に決めていなくても構わない。条件次第で変更するのはあり得るからだ。

 (山田ビジネスコンサルティング事業企画部部長)

 
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