【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 666】業務効率化の実践テクニック〈2〉 青木康弘


 前回に引き続き、業務を抜本的に見直し、効率化を図るための実践テクニックを紹介したい。旅館・ホテル業界では深刻な人手不足が問題となっている。その主な原因の一つは、労働生産性が低いことである。作業が効率的でないために、厳しい労働環境でありながら十分な賃金を与えられず、悪循環に陥りやすい状況となっている。

 3.業務を統合する

 不要な業務が削減できたら、次に業務の統合を検討しよう。業務の統合とは、同じまたは類似の目的を持つ複数の業務を一つにまとめて効率化を図ることをいう。部署別の着眼点は次の通りである。

 (1)フロント=チェックイン、チェックアウト業務を統合できないか検討してみよう。チェックイン、チェックアウトに十分な時間をかけて、お客さまとの関係づくりをするのは大切なことであるが、人手不足でフロントスタッフの採用がままならない状況では、1組あたりの対応時間を短縮できるようやり方を変えることが望ましい。

 別注の少ない施設であれば事前精算に切り替えても良い。別注や部屋付けしたお客さまのみチェックアウト時に自動精算機での精算をお願いするようフローを変更すれば人員を省力化できる。思い切ってオールインクルーシブにしても良い。チェックアウト時の負荷が相当軽減できるだろう。

 (2)予約=予約係と別部門との業務を統合すれば負荷軽減につながる。例えば、予約データを活用して、夕朝食で必要な材料を自動計算し発注できるようにすれば、料飲部門の負荷軽減につながる。予約台帳を紙に印刷して各部門で使いやすいように手を加える施設が多いが、各部門で必要なデータを予約データから直接生成できるよう取り組んでみよう。

 (3)清掃=清掃と備品管理、発注、メンテナンスを統合できないか検討してみよう。清掃係は毎日客室に入る機会があるので、備品やアメニティの在庫確認や注文書の作成・発注、軽微な修繕をできるようにすれば業務効率化につながるだろう。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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