【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 656】連泊型旅館への転換〈3〉 青木康弘


 前回に引き続き、高単価の連泊客に選ばれる施設になるためのポイントを紹介したい。施設の高付加価値化やインバウンド個人客の集客を進めていくにあたって、今後取り組みを強化したいのが連泊客への対応である。これまで旅館は連泊客の対応を苦手としていた。しかし、旅先での過ごし方が大きく変革するなかで、1泊2食の運営形態に固執しすぎるとお客から選ばれなくなる可能性があるため、今のうちから改革を進めていこう。

 (4)2次交通を自前で整備する

 連泊して滞在型観光を楽しむためには交通手段の確保が必要だ。都市部近郊の観光地であれば、自家用車で訪れる客が中心となるため問題ない。しかし、地方の温泉地では、駅や空港からバスやタクシーで現地に到着した後の交通手段が乏しいエリアが多い。連泊客の利便性を高めるために、自前で交通手段を整備しよう。

 道路が整備され、観光スポットが比較的集積しているならば、レンタサイクルが良い。試みに中古の自転車を数台導入してみよう。ファミリー層をターゲットとした施設ならば、子供が乗せられるタイプや電動自転車も検討したい。自転車の整備スペースを作ればサイクリストも集客できるという相乗効果が狙える。料金の目安は1時間300円から700円、電動自転車は千円程度である。中古自転車であればすぐに投資回収できるだろう。

 観光スポットが離れているならば、スクーターや軽自動車のレンタルを検討しよう。許認可を受ける必要があるが、旅客輸送業ほど難しくない。書類作成や申請が面倒であれば行政書士に依頼すると良い。車両故障時には送迎しなければいけないケースがあるので、貸し出し時に行動範囲を限定すると良い。料金は1時間1500円、半日で5千円程度だろう。

 高単価の宿泊客をターゲットにするならば、電動キックボードや公道を走れるバギー、カート、グリスロなどユニークなものをレンタルすると人気を集めやすい。宿泊プランに組み合わせれば、単価アップや差別化を図れるだろう。

(アルファコンサルティング代表取締役)

 
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