【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 648】多角化による収益アップ法〈1〉 青木康弘


青木氏

 旅館・ホテルの稼働率は復調傾向にあるものの、中期的に見ればインバウンドや高付加価値旅行を除き、宿泊旅行市場は縮小すると見込まれている。国内観光客をメインターゲットとした宿泊施設や観光施設は、既存事業にとどまらないさまざまな収入源を確保しておくことが望ましい。今回コラムでは、有望とされる多角化分野を取り上げて収益アップを図る方法について紹介したい。

 事業の多角化を進めるにあたり、市場成長が見込まれ、参入しやすい有望度の高い事業テーマを最初に検討すると良い。事業再構築補助金を主管している経済産業省が、応募された事業計画書をAI分析し、優れた事業テーマを公表している。新規事業のアイデア出しの参考にすると良いだろう。

 この資料によれば、有望度の高い事業テーマとして、ワーケーション宿泊客向けのサービス、設備を活用したデリバリーやレストラン対応、製造への展開、グランピングやキャンプ等アウトドア事業の展開、屋外やプライベート空間といった付加価値の高いサウナの新設、カフェ開設による観光客や地元客の取り込み、カフェやドッグラン等のペット同伴可能な施設の開業、などが挙げられている。地域によっては供給過多の状況になっているテーマもあるが、参入障壁が低く取り組みやすいだろう。

 市場成長が見込まれるものの、参入障壁が高い事業テーマとして、体験型施設の開設やツアーの企画、長期滞在顧客向けのサービス、遊休スペースを多目的スペースとして貸し出し、コテージ等の一棟貸し、日帰り客をターゲットにした施設開設やサービス提供、コインランドリーや洗濯代行サービス、貸別荘の提供や管理、スイーツや菓子の製造、などが挙げられている。自社の強みと新規事業のテーマに親和性があれば、ノウハウを生かして競争優位性を構築することが可能である。

 今回説明した資料は次のURLから閲覧可能だ(https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/jigyokeikaku_guidebook.pdf)。ご興味あればダウンロードして参考にしてほしい。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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