【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 642】2023年に取り組むべきこと1 青木康弘


青木氏

 新型コロナが流行を始めてから4年目になろうとしている。全国旅行支援により観光地は活況を取り戻しつつあるが、新型コロナの再燃や政府の政策に翻弄(ほうろう)され道標を見失っている旅館・ホテルは少なくない。今回コラムでは、困難な状況を乗り越え、施設を再興させるために2023年に取り組むべきことを紹介したい。

 (1)量より質を追求する

 国内の人口動向をみると、シニア客でにぎわっていた観光地が再びコロナ前の水準を取り戻すのは大変ハードルが高いことが分かる。団塊の世代が後期高齢者となり、65歳~74歳のシニア層は急速に減少するからだ。

 2020年から2030年までの変化を見ると、多くの地域で2割以上の大幅減少が見込まれている。特に減少幅が大きいエリアは、四国、山陰、近畿、北陸、北関東、北海道である。シニア層をターゲットとする施設は同じ努力を続けても、コロナ前の8割しか売り上げを獲得できないことになる。実際には国民全体の所得水準の低下により、さらなる売り上げ減に直面する可能性がある。

 多くの施設でメインターゲットとしている30歳~64歳人口もシニア層ほどでないものの減少が続くと見込まれている。2020年から2025年までのたった5年間で5%以上減少する地域は少なくない。

 今後は、客数が毎年減少することを当たり前のこととして、事業計画を検討する必要がある。政府の補助事業が続いているうちに量から質への転換を図りたい。

 2室を1室に統合して付加価値の高い客室を増やすとともに、老朽化が進んだ建物の解体を検討することをお勧めする。上層階の一部客室のみ工事費をかけて贅沢(ぜいたく)な改装を行うのではなく、予算の範囲内で可能な限り改装できる室数を増やした方が良い。一部客室を露天風呂付きの豪華な客室にしても、一般客室の部屋余り問題は解決しないからだ。バーやクラブ、食事処、ロビーといった団体向けの付帯設備も、この機会に個人客向けの滞在スペースとして改装することをお勧めする。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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