【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 617】お金をかけずにできる生産性向上4 青木康弘

  • 2022年6月21日

青木氏

 前回に引き続き、お金をかけずに日々の業務を効率化する方法を紹介しよう。観光業でもDXが注目されるようになったが、高額なシステム導入費用がネックとなり取り組みに躊躇(ちゅうちょ)してしまう。予約業務は効率化したが、日々の業務は昔のままで全く効率化が進んでいない施設は少なくない。

 (5)管理可能な範囲内まで施策を絞り込む

 業績アップを目指すために、やみくもに改善施策を乱発していないだろうか。アフターコロナの回復期にある現在は、金融機関から業績改善策に取り組むよう強く言われている施設が多い。この取り組みが業績向上に直結すれば良いが、実際は労多い上にスパン・オブ・コントロール(管理限界)を超えるという問題が発生する。

 管理限界は、人材管理の領域でよく使われる言葉である。1人の管理職が直接管理できる部下の人数や業務領域のことを指す。一般的に管理できる適正人数(業務領域数)は、5~8人(件)といわれ、最大で10人(件)とされている。管理限界を超えてしまうと部下の行動を管理できなくなったり、業務の進捗(しんちょく)状況や課題を把握できなくなったりしてしまう。

 この考え方に基づいて、旅館・ホテルの問題点を点検してみよう。最も発生しやすいのが宿泊プランの数である。皆さまの施設のプラン数を数えてみてほしい。特に、エージェント契約の多い施設は、プランが数十個あることは珍しくない。

 プラン数が多いと、プランの登録や更新、スタッフのトレーニングや伝達に時間と手間がかかり生産性を落とす原因になる。また、プランごとの原価管理ができなくなる。不採算なプランが紛れ込んでしまい、売り上げの割に利益が上がらないという問題が発生する。

 宿泊プラン以外にも管理限界を超える問題は随所で発生している。客室タイプの種類、人員組織図上の係や担当の種類、管理帳票の数、取引銀行の数、食事会場の数、食器の数など枚挙にいとまがない。

 お客さまに支持される強い商品や効率的なオペレーションとは何かを定義せずに、みだりに施策を増やしてしまうことが原因だ。皆さまの施設でも改善施策に取り組みすぎて、逆に生産性を落としているという問題が発生していないか点検してみてほしい。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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