【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 606】少数精鋭組織の作り方5 青木康弘


青木氏

 前回に引き続き、労働集約的なビジネスから脱却し、少数精鋭による効率的な運営を行う方法を紹介したい。今後も稼働が不安定となることを想定すると、最低限のスタッフで効率的な運営を目指すことも有効な手段である。

 5、地域の人口動向に応じた対策を講じる

 少数精鋭組織を目指すにあたって、地域の人口動向を確認しておきたい。市街地やベッドタウンに立地していたり、大都市を市場後背地としていたり、人材がアクセスしやすい立地であれば、賃金や待遇の改善次第で求人を増やすことができる。組織の中核となる優秀な人材を確保することで少数精鋭組織を構築しよう。

 しかしながら、労働力人口が急速に減少している地域では、厚遇の求人でも応募者を集めることは困難である。例えば、東北のある地域は、直近のわずか5年間で20代人口が2割減少した。30代から40代の人口も4~5%減少した。65~74歳の高齢者は一時的に増加傾向にあったが、現在は深刻な労働者不足に直面している。

 現場スタッフや主任クラスであれば、外国人材の活用により当面の間は運営に必要な人材をカバーすることができるだろう。しかし、外国人材だけで少数精鋭組織を構築するのは難しい。就労目的やビザの関係から、経営陣や管理職として働いてもらうのは無理があるからだ。後継者難に悩む組織の解決策とはならない。

 人材不足と後継者難を同時に解決するには、地域の事業者同士が連携し、チェーン組織を作っていくのが望ましい。資本の持ち合いや運営受託、不動産の譲渡等によって、経営者や管理職人材の不足を賄うことができる。

 初めは、調理部門や清掃部門、予約部門等の連携からスタートし、関係構築が進んだら運営受託やマネジメント契約等によって運営の統合を図っていく。本部組織を集約することで運営の合理化を図ることができるだろう。施設単独で運営するための人材確保が困難である場合には、積極的な地域連携をおすすめしたい。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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