【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 603】少数精鋭組織の作り方2 青木康弘


青木氏

 前回に引き続き、労働集約的なビジネスから脱却し、少数精鋭による効率的な運営を行う方法を紹介したい。今後も稼働が不安定となることを想定すると、最低限のスタッフで効率的な運営を目指すことも有効な手段である。

 2、強みの獲得・維持難易度を理解する

 皆さまの施設の強みは何だろうか。多くの施設が挙げるのは、サービス(おもてなし)や料理の内容だろう。著名観光地に所在する施設であれば、立地や眺望と答えるだろう。増改築や新築を行った場合は、客室や温泉、付帯設備と答えるかもしれない。

 これらの項目は、OTAの口コミ評価項目でもあるので、各社しのぎを削って点数アップするよう努力している。しかし、高評価を獲得する難易度は、施設によって大きく異なるということを認識しておく必要がある。

 例えば、料理で高得点を獲得し維持し続けるためには、調理技術だけでなく視覚的なセンスにも優れた調理人を安定的に確保することや、地元食材に恵まれていること、接客に向いたサービススタッフを新規雇用し続けられることが求められる。都市から離れた小規模施設で条件を満たすのは容易ではない。チェーン展開している大型施設でなければ難しいだろう。

 反対に、市街地にある大型施設がリゾート地にあるようなヴィラタイプの小規模施設を模倣しても高評価を獲得することは難しい。眺望や周辺環境、空気感と調和していることによって高評価が得られているのであって、一部を切り取っても顧客の支持は得られないからだ。

 難易度の高いものを強みにしようとすると、人材確保や設備投資の面で無理が生じてしまう。結果として、業務効率の低下や広告費の上昇、組織の肥大、過剰投資につながる。自社がどのような強みを磨いていくべきか検討する際には、他地域の成功事例をそのまままねするのではなく、自社にとって容易に獲得し継続できそうなものを選択したい。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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