【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 588】コロナ小康期の業績アップ法3 青木康弘


青木氏

 前回に引き続き、コロナ小康期に業績アップに向けて取り組むべきことを紹介したい。感染者数の抑制が続くと、雇用調整助成金や補助金、融資制度が打ち切られることが想定される。そうなる前に業績の正常化を図りたい。

 3、広告宣伝予算を見直す

 アフターコロナにおいて、宿泊客の戻りは均一ではない。時間的余裕のある高単価の個人客は戻りが早いが、団体や老人会は本格的に戻るまで相当な時間を要する。個人客から団体客までさまざまな客層をターゲットにしている旅館・ホテルは、代理店取引や広告宣伝、販売促進、営業スタッフの人員配置などについて、コロナ前とは異なる考え方、方針に見直す必要がある。

 需要が低迷する局面においては値引き競争に陥りがちである。代理店の営業担当者の提案も値引き合戦を引き起こす原因の一つとなっている。本格的な回復局面であれば値引きによる集客は有効だが、全体のパイが大きくならないと売れば売るほど赤字が膨らむという悪循環に陥る。皆さまの施設が立地するエリアの回復状況に応じて、代理店の提案や企画を受け入れるかどうか判断したい。

 県民割は目先の売り上げを確保するにはありがたいが、高単価のプランが売りにくい、平日の稼働が上がりにくい、団体客の集客にはつながらないという問題点がある。県民割に頼るだけで黒字化に必要な売り上げを確保するのは難しい。自社独自で平日限定のキャンペーンや地元の飲食店やレジャー施設とコラボしたプランを企画するなど、平日の稼働を引き上げる政策を取り込みたい。

 団体旅行の催行が徐々に再開されているものの、売り上げの柱になるまで回復するには、相当の時間がかかる。非対面は今後も推奨され、巡回型のセールスは歓迎されなくなる。営業部門を根本から見直し、予約部門またはフロント部門と統合することを検討しよう。営業活動に求められるスキルも変わってきている。PCスキルに長けた若手人材に入れ替えることも必要だ。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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