前回に引き続き、通常枠の採択率100%だった弊社の事業計画作成ノウハウを生かして、採択率の高い計画書を作るコツを紹介しよう。紹介する項目の順番に沿って作成すれば完成するのでぜひチャレンジしてほしい。
21、収支計画
今後の収支見通しを損益計算書の形式でまとめよう。本補助金の申請要件として、3年後または5年後の新規事業売上比率(法人の売り上げ全体に占める新規事業の割合)、付加価値額の伸び率を一定数値以上にすることが定められている。
また、コロナ前と比べた減収率、付加価値の減少率も審査の要件となっている。このことから、実績2~3年、開業準備期(補助事業に取り組む期間)1年、計画5年の収支計画とするのが良いだろう。
3月末決算の会社を例にすると、実績は2019年3月期~21年3月期、開業準備期は22年3月期、計画は23年3月期~27年3月期までとすると良い。通算して8期分の収支を記載することになる。
開業準備期以降の収支計画は、既存事業と新規事業に分けて作成して後から合計すると取り組みやすい。例えば、既存事業が旅館業の場合、新型コロナ流行により20年3月以降は大幅減収となっている館が多いだろう。
今後、どのタイミングで終息するか確実な予想はできないが、仮に24年3月期に新型コロナ流行前の売り上げに戻るとすると、22年3月期より段階的に売り上げを回復させ、24年3月以降は横ばいとするというのが納得してもらいやすいだろう。
新規事業は、取り組む領域ごとに営業日数や客単価、客数、PV数、コンバージョン率などから毎年の売上予算を設定すると良い。売上原価は、業界水準を目安に設定すると良い。販売費および一般管理費のうち人件費は、従業員の新規採用数や平均時給、想定シフトに基づき概算で予算化すると良い。
その他の経費については、勘定科目ごとに月当たりの予算額を決めて12カ月換算すると設定しやすいだろう。減価償却費は取得する資産ごとに法定耐用年数を調べて、その年数で割ったものを合計すれば毎年の金額を出すことができる。
(アルファコンサルティング代表取締役)