2020年は新型コロナに翻弄(ほんろう)された年だった。秋口から本格化したGo Toトラベル事業により観光客回復の道筋が立ったかと思いきや、第3波により先行きが不透明になってしまった。21年中盤までには訪日外国人受け入れ再開やワクチンの普及、オリンピック開催決定などにより正常化が期待される。それまでに体制を立て直し、アフターコロナ下でも収益力の高い施設になるための取り組みポイントを紹介しよう。
1、激しい季節変動に注意する
21年の施設運営で最も気をつけたいのが、これまで経験したことがない激しい季節変動が想定されることである。Go Toトラベル事業は6月末で終了する予定だ。梅雨の時期は多くの観光地で入り込みが落ち込むが、21年は大きな駆け込み需要が発生する可能性がある。その反動で、7月下旬以降の夏休みは例年よりも極端に稼働が落ち込む可能性がある。
その時期には、雇用調整助成金や新型コロナ対策融資は期限切れを迎えている。春先に新型コロナの終息が見えたからといって、油断せずに手元資金は潤沢に確保しておきたい。先予約が極端に低い場合はシーズンに関係なく思い切って休業するのも一手段だろう。
例年のシーズナリティは通用しない。夏休みのプラン販売はゴールデンウイーク(GW)の動向を注視しながら決めたい。19年のGWは10日間続いたことで宿泊単価を伸ばすことができた。しかしその反動で夏休みの集客が伸び悩み、苦戦する施設が多かった。
GWで行楽予算を使い切ってしまい、夏休みはお金をかけずに近場で過ごす家庭が多かったからと想定される。夏休みの販売は、在庫を小出しにスタートし、需要動向を見極めながら徐々に値上げしていくといった対応も検討したい。
季節変動が激しいと、残業時間もコントロールしにくくなる。残業代の支払いが膨らんでいる施設は勤務制度の見直しを行いたい。23年4月以降は、中小企業でも月60時間を超えた時間外労働に対して50%以上の割増賃金を払わなければならなくなる。人件費の支払いに苦労しないよう、21年のうちに業務の効率化やサービスの見直しを行いたい。
(アルファコンサルティング代表取締役)