前回に引き続き、アフターコロナ時代に取り組むべき施策について紹介しよう。新型コロナウイルスの感染抑制を目的とした強烈な自粛要請や衛生指導は、消費者の生活様式や価値観、嗜好(しこう)を大きく変えてしまった。従前のコンセプトや運営方針、商品サービス、ハード設備では宿泊者の満足が得られない可能性がある。早めに対策を講じて良いスタートを切りたい。
11、繁閑差に柔軟に対応できる体制とする
県外自粛要請が解除された初めての週末は、好天に恵まれたこともあって、宿泊客でにぎわった施設が多かったようだ。感染症対策に注意しながらの営業で心労が募ったことと思うが、旅館・ホテルが消費者に欠かせない存在として改めて認知されたのは良かった。今後は地域限定キャンペーンやGo Toトラベルキャンペーン対策をしっかりと行って商機をつかみたい。
当面の間は、団体客やインバウンドの回復が見込めないため個人客頼みとなる。個人客は、曜日や月による入り込みの変動が大きい。今年は、各種キャンペーンの影響もあるため、予約の動きは例年とは全く異なるものとなるだろう。急な直前予約にも柔軟に対応できるような体制づくりが欠かせない。
これまでのように2週間単位でプラン販売やシフト、食材調達を準備していたのではタイムリーな対応は難しいだろう。今年の夏休みは事前に予定を立てにくく、またキャンペーン開始までの買い控えも予想されることから、直前予約の比率が高まる可能性が高い。スタッフと料理がそろわないからと売り止めしてしまえばせっかくの売り上げ獲得のチャンスを失うことになる。
シフトは2週間前の予告を原則としておきながら、直前に予約が増えた場合には出勤してもらえるよう協力要請をしておきたい。料理は仕込みや配膳に時間と手間のかかるメニューは可能な限り避けて、急な予約増加に対応できるようにしておきたい。
おもてなしや料理の質を維持することは大切だが、客数に過度な制約をかけてしまうと黒字化はおぼつかない。固定観念にとらわれず一日も早い黒字化を目指して取り組みたい。
(アルファコンサルティング代表取締役)