【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 505】業績低下時の対処法2 アルファコンサルティング代表取締役 青木康弘


 前回に引き続き、売り上げ、利益が低下した時の原因究明方法と対策について説明しよう。2020年のオリンピックイヤーを商機として、皆さまの旅館・ホテルでもさまざまな集客策を準備していることだろう。一方で、せっかくのチャンスの年にもかかわらず、足下の売り上げや利益が低下してしまっているという悩みも聞くようになった。迅速に対処して業績低下を食い止めよう。

 2、チャネル別の売り上げ、単価、利益を確認する

 売り上げ低下時の原因を把握する手段として有効なのが、さまざまな軸で売り上げの中身を切り分けることである。例えば、エージェントや出発地、営業担当者、契約法人、宿泊単価、年齢などを軸にすると良いだろう。

 エージェントを軸にするならば、ホテルシステム(PMS)のデータから、エージェント別の売上高、宿泊者数、宿泊単価、年齢、性別、グループサイズなどのデータを2~3年分、月単位で取得する。過去データだけでなく、今後3カ月先までのオンハンド状況についてさまざまな軸で予約内容の分析ができれば、売り上げ落ち込みの原因を早急に突き止め、打開策を講じることができる。

 もし皆さまの館で導入しているシステムにこの機能がなく取得できない場合は、各社の過去の販売レポートを参考に集計すると良い。ただし手作業でやるとスタッフの時間が取られるため効率が悪く、またリアルタイムに状況把握できないというデメリットがある。可能であればシステムの入れ替えやカスタマイズを検討することをおすすめする。

 分類整理したデータを見て、特定のエージェントが落ち込んでいるのであれば、ウェブや各種媒体での露出や口コミ評価の低下が理由として考えられる。切り分けたデータを見てどこが落ち込んでいるかチェックしよう。

 前回コラムで説明した外部環境分析と組み合わせれば、精度の高い原因把握が可能となる。

 例えば、エリアで一般客室の販売が低迷しており、自館も同様の傾向にあるならば、まずリスティング広告とコストパフォーマンスの良いプランを投入して掲載順位を引き上げ、その後、プラン内容の充実と価格引き上げを図っていくなどの打ち手が考えられる。

 エリアで減少幅が大きい客層をターゲットにすると際限ない価格競争に陥るリスクがあるので、一般客室を利用する顧客をさまざまな軸で切り分けて、減少幅の小さい客層をターゲットにすると良いだろう。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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