前回に引き続き、すぐに効果が出る経費削減のコツを勘定科目ごとに紹介しよう。好況に見える観光業界であるが、政情不安や災害の影響を受けやすいというリスクを軽視してはいけない。多くの利益が出たからといって節税を名目に経費を使い過ぎてしまうと、万が一の時に資金繰りに窮することになる。好況に見える今だからこそ経費の引き締めを行いたい。
5、福利厚生費
福利厚生費にはさまざまな費用が含まれるので元帳を確認しながら支出の妥当性をチェックしよう。代表的なものとしては、住宅手当や家賃補助、スタッフの食事代、福利厚生代行サービス手数料、社員旅行の費用、資格取得費用などが挙げられる。
民間アパートを借り上げて従業員寮としている場合には、家賃相場が妥当かチェックして、もし割高と感じるようならば賃貸物件の見直しを検討しよう。その他の支出についても、スタッフの勤労意欲向上や優秀な人材の確保につながっているか年に一度は費目ごとに確認し、費用対効果が得られていないようならば見直ししよう。
6、広告宣伝費
旅館・ホテルは広告会社の営業を受けやすい業界である。営業マンの提案を全て受け入れてしまうと、広告宣伝費の予算はいくらあっても足りない。媒体ジャンル別に年間予算や継続の判断基準をあらかじめ決めておくことが望ましい。
予算配分は必ずしもトレンドに合わせる必要はない。テレビやラジオ広告が集客につながっているのであれば継続することは問題ない。トレンドに合ったネット広告であっても、効果が見られないことが明白であるならば惰性で続けずに中止を検討しよう。
7、販売手数料
表面上の送客手数料だけでなく、広告掲載費やキャンペーン参画費、システム利用料、協賛金などさまざまな名目で支払っている費用を旅行会社ごとに合算して売り上げに対する比率を求めてみよう。実質的な送客手数料率を把握することができる。手数料率の多寡だけでなく、皆さまの館に対する取引姿勢やサポート体制、会社の考え方などを勘案しながら、取引方針を決めると良いだろう。
(アルファコンサルティング代表取締役)