
前回に引き続き、今からでも間に合う増税時代を乗り切るための販売戦略について説明したい。本体価格から見ると2%アップに過ぎないが、税額から見ると25%アップである。旅館・ホテルを利用する消費者は敏感に反応することになるだろう。増税で売り上げ減とならないよう継続的な取り組みが大切だ。
4、シニア向けの還元策を独自に行う
消費税増税を機に政府はキャッシュレス支払いに対して数%を還元するキャンペーンを開始したが十分な利用がされているとは言い難い。特にシニア層は現金の利用率が高く、スマートフォンのアプリ操作に慣れていない。メリットを享受できず、政府が主導するキャンペーンに対して不満を持ちがちだ。
このようなお客さまを取り込むためには、プラン販売時に具体的な割引率を明示したキャンペーンを行うと良いだろう。消費税還元セールといったような、あたかも消費者が消費税を負担していないかのように誤認させてしまうおそれのある表示は法令で禁止されているが、値引きやポイント還元自体は問題ない。
例えば、現金利用の方に限り2%相当分を値引きや商品券付与するというキャンペーンが考えられる。売り上げアップに結びつけるならば、自社サイトの予約に限り5~10%キャッシュバックするといった思い切ったキャンペーンを行っても良い。
政府や決済サービスを提供する民間企業のキャンペーンにより、消費者はポイント還元やキャッシュバックという言葉に敏感になっているので効果が期待できるだろう。
5、消費者還元事業の期限切れのタイミングを狙う
政府によるポイント還元事業は、来年6月末に終了する。また、カードごとのポイント付与上限額も決まっているので、6月末を待たずに需要喚起の効果は薄れていくだろう。オリンピックシーズンは、関東エリアを中心に売り上げアップが期待されるが、今年のゴールデンウイーク前後に落ち込みがひどかったエリアがあったことを考慮すると、オリンピック前後の時期が心配である。
来年7月のタイミングで宿独自の還元キャンペーンを行ったり、地域ぐるみで直接予約に限った還元キャンペーンを行ったりすることをおすすめする。
(アルファコンサルティング代表取締役)