【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 454】成功する業務マニュアルの作り方9 青木康弘


 前回に引き続き、業務マニュアルを上手に作成するための手順を紹介しよう。作成するに当たって重要となるポイントだけでなく、運用・定着化のコツも紹介したい。

 9、安全衛生管理

 旅館・ホテルは客室係、調理係を中心に経験の浅い高年齢者の労働災害が起きやすい。そのため、スタッフの安全と健康管理、快適な職場環境づくりを図るためのルールを周知徹底することが重要だ。業務マニュアルには、安全管理の留意点、衛生管理の留意点、食中毒と防止策についてまとめると良い。

 安全管理の留意点は、職場で危険と感じる設備や備品、場所、業務内容に気が付いたら早めに上司に報告することなどを盛り込むと良いだろう。特に、館内の段差や設備の故障は労働災害の原因となりやすい。経営者の立場では気付きにくいので、スタッフから報告してもらうのが効果的である。

 衛生管理の留意点は、職場で衛生的でないと感じる設備や備品、場所、業務内容に気が付いたら、早めに上司に報告することなどを盛り込むと良いだろう。安全管理と同様に、不衛生な箇所は経営者の立場では気付きにくい。食中毒のリスクがあることを分かっていても、前の担当者がやっていたやり方をそのまま踏襲しているケースがある。

 また、大浴場の不衛生な箇所や設備故障に気付いていながら、そのまま放置したためにレジオネラ菌が発生し、営業休止に追い込まれたケースがある。衛生管理の大切さを理解し、気付いたスタッフがすぐに報告するようマニュアルに盛り込んでおこう。

 食中毒の防止策は、主な食中毒の種類と感染経路、症状を箇条書きで整理した上で、食中毒を防止するための対策(身だしなみ、手洗い、体調管理)、感染したと思われる際の対処法などを盛り込むと良いだろう。調理部門の中で理解されていても、接客係や他部門からヘルプで来たスタッフに周知されていなければ食中毒のリスクは高まる。業務マニュアルに盛り込み、全員が理解し行動できるよう徹底しよう。

(アルファコンサルティング代表取締役)

 
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