【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 434】働き方改革法への対応4 青木康弘


 前回に引き続き、働き方改革法への対応について具体的なポイントを紹介しよう。罰則付きの残業時間の上限規制、年次有給休暇の取得義務、勤務間インターバル制度導入の努力義務、同一労働同一賃金など、旅館・ホテルの運営方法を根本から見直さなければならない制度改正が多い。早いものは来年4月1日から施行されるので、早めに準備しておこう。

(4)勤務間インターバル制度の努力義務

 勤務終了から次の始業開始までに一定の休息時間(11時間が目安)を確保する仕組みのことを勤務間インターバル制度という。政府は2020年までに10%以上の企業が導入することを目標としている。残業時間の上限規制のように導入しなくても罰則はないが、人材不足が深刻化する中で他社に出遅れることのないよう早めに導入検討することをおすすめする。

 旅館・ホテル業において、11時間の勤務間インターバルを確保するためにはシフト組みの工夫が必要となる。特に対策が必要な部署は、フロント、料飲サービス、調理部門である。

 例えば、フロント部門で遅番(始業13時、終業22時)のスタッフは、翌日9時以降でないと出勤させることができなくなる。また、ナイト勤務(始業22時、終業9時)のスタッフは、当日の20時以降でないと出勤させることができなくなる。

 今までよりも1~2人増員するか、ナイト専任スタッフを採用するか、ITの活用によりチェックイン・アウト業務、精算業務などを簡素化するなどの施策が必要になるだろう。

 料飲サービス部門は、朝夕食を同じスタッフで対応することが難しくなるだろう。夕食終了時間が9時、翌日の朝食開始時間が7時とすると、終業10時、始業6時となり勤務間インターバルは8時間しかないことになる。11時間のインターバルを確保するためには、夕食を提供するスタッフと朝食を提供するスタッフを別の人にする必要があるだろう。

 同様に、調理部門も昔のように朝にそろって出勤するという勤務体制を維持することは難しくなる。和風旅館であってもブッフェ形式へ切り替えたり、調理補助(パートスタッフ)を今まで以上に活用したりすることで、朝の調理スタッフの出勤人数を減らす工夫が必要だろう。

(アルファコンサルティング代表取締役)

 
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