【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 431】働き方改革法への対応1 青木康弘


 働き方改革法が先月6月29日に成立した。罰則付きの残業時間の上限規制、年次有給休暇の取得義務、勤務間インターバル制度導入の努力義務、同一労働同一賃金など、旅館・ホテルの運営方法を根本から見直さなければならない制度改正が多い。早いものは来年4月1日より施行される。対応が遅れれば、人材採用や定着化になおさら苦戦することになる。今回コラムでは、働き方改革法への対応について具体的なポイントを紹介しよう。

(1)中抜け勤務制からシフト制への見直し

 食事の評価が高い旅館・ホテルは中抜け勤務を前提に勤務体系を取りがちであるが、働き方改革法が施行されると今までのような運営は難しくなる。中抜け勤務からシフト制への転換を取り組んでみよう。具体的なステップは次の通りだ。

 まず、スタッフの必要投入量について現状分析をしてみよう。部門ごと時間帯ごとにスタッフの必要人数を測定する。他の時間帯でもできること、お客さまを待機している時間は含まない。あくまで、スタッフの対応が必要な時間と人員数をカウントする。

 次に、ピークカットの方法について検討してみよう。スタッフの必要投入量が多い時間帯と少ない時間帯との差が大きければ大きいほど必要な人員数は大きくなる。時間帯ごとの必要投入量をグラフ化すると、鋭い山形になる時間帯(ピーク時間)が複数あることが分かるので、その時間帯をなだらかにする(ピークカットする)方法を検討しよう。例えば、館全体のピーク時間にやらなくても良いことは他の時間帯に対応するよう業務を見直したり、お客さまの食事時間を分散したり、営業時間を見直したり、パートスタッフが対応したりなどの対策が考えられる。

 最後に、ピークカットした時間帯別の必要スタッフ投入量に合わせてシフト表を作成してみる。正社員であれば公休数に応じて1日7時間または8時間単位で人員を当てはめてみてシフトパターンを作成しよう。当然のことながら一つの持ち場で連続して8時間分の業務があるとは限らない。その場合にはマルチシフト(時間帯によって複数の持ち場を担当する形態)を検討しよう。シフトパターンが決まったら割り当てられた業務をこなせるようトレーニングを行おう。

(アルファコンサルティング代表取締役)

 
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