旅行に制約をもたらしていた新型コロナウイルス対応が転機を迎える。感染症法上の位置付けについて、政府は5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行する方針を決めた。これまで行われてきた行動制限はできなくなり、人の往来が活発化することに期待が高まっている。
水際対策については、日本への入国の際、3回のワクチン接種の証明書などを求めていたが、5類では原則、こうした措置は取れなくなる。訪日外国人旅行者の増加の流れが加速しそうだ。
北海道大学観光学高等研究センターの石森秀三特別招聘(しょうへい)教授は、「移行は人の動きを活発化させるので、業界にとってはプラス要因になるだろう。しかし、世界的にコロナ感染症が完全に終息したわけではないので、浮かれすぎにならないよう配慮する必要がある」と注意を呼び掛ける。
また、「世界のどこかで新しい変異ウイルスが生まれ、日本にも影響が及ぶことは確実なので、緊急事態への備えが必要不可欠になる」とした上で、政府に対して「観光の量的拡大一辺倒の観光政策ではなく、質的向上を意図した政策への変換」を求めた。
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