【観国之光 330】新たな世界遺産 コロナ禍で明るい話題 本社論説委員 内井高弘

  • 2021年5月24日

世界遺産への登録勧告が出された奄美大島。コロナが終息すれば美しい自然を目当てに観光客も増えそうだ

 新型コロナウイルスの感染者が再び増加傾向を示し、16日には北海道、岡山、広島の3道県に緊急事態宣言が適用された。そんな中、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」が世界自然遺産に登録される見通し、というニュースが飛び込んできた。

 緊急事態宣言で不自由な生活が当分続きそうで、重苦しいムードが漂っている中、久々の明るい話題で、沖縄本島北部の国頭村の村長や職員がカチャーシーを踊って喜ぶニュース映像をみると、こちらもうれしくなった。

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際自然保護連合(IUCN)が世界自然遺産への登録を勧告した。7月の世界遺産委員会で正式決定されるが、ほぼ決まりといっていい。

 鹿児島県の奄美大島と徳之島、沖縄県の沖縄本島と西表島の4島にまたがる推薦区域の総面積は約4万3千ヘクタールに及び、国の特別天然記念物のアマミノクロウサギ(奄美大島・徳之島)、イリオモテヤマネコ(西表島)、ヤンバルクイナ(沖縄本島北部)など希少種が生息する。

 IUCNは「国際的にも希少な固有種に代表される生物保全上重要な地域である」と高く評価した。
 現在、世界遺産は1121件あり、日本には23件ある。うち、世界自然遺産は屋久島(鹿児島)と白神山地(青森・秋田)、知床(北海道)、小笠原諸島(東京)の4件あり、「奄美・沖縄」は小笠原諸島から10年ぶりの自然遺産登録となる。

 世界遺産に登録されると注目が集まり、多くの観光客が押し寄せる。その結果、自然が破壊されたり、住民に迷惑がかかるなど何かと問題も起きる。コロナ禍で旅行自粛がいわれる中、観光客がどっと押し寄せることはなさそうだが、終息後はそうもいくまい。

 IUCN勧告は今後に向け、特に西表島については、観光客の収容能力や影響を調べ、観光客の上限を設けるか、減少させるための措置を取ることや、希少種の交通事故を減らすことなどの対応を取るよう求めている。

 4島は豊かな自然も魅力的だ。コロナ禍でたまったストレスを発散したいと考え、島を訪れ人も多くいるだろう。「地域活性につながる」と登録効果を歓迎する声もあれば、「自然環境が悪化するのでは」と警戒する声もある。どう折り合いをつけていくのかが課題となる。

 観光客の節度ある行動が求められるが、一部の心無い人の行動で貴重な自然が壊されるのは何としても避けたい。人数制限やツアーガイドの育成など、できる限りの手を打ってもらいたい。観光と保全の両立を期待したい。   


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