【観国之光 318】M7級余震 災害の備えいま一度 本社論説委員 内井高弘


13日の地震の影響は公共交通機関にも及んだ。東北新幹線は電柱などが損傷し、運休を余儀なくされている

 福島県沖で13日夜、マグニチュード(M)7.3の大きな地震が発生した。東日本大震災(M9)を引き起こした巨大地震の余震とみられており、自然のサイクルに驚くばかりだ。

 宮城、福島両県で最大震度6強を記録、負傷者も多数出た。東北沖を震源とする震度6強の地震は2011年4月7日以来という。

 関東地方にいても強い揺れを感じ、東日本大震災のことが頭をよぎったが、震源が比較的深かったことから津波の発生は免れたようだ。本当に良かった。

 しかし、停電や断水に加え、公共交通機関への影響も少なくなく、東北新幹線は全面復旧に10日前後かかるという。国は今回の地震を激甚災害に指定する調査に入ったとされる。迅速に対応し、復旧の後押しを期待したい。

 震源地に近かった地域の旅館・ホテルの関係者からは「(揺れは)震災の時よりも強く感じた」という声も出ている。倒れたものも多かったが、けが人はいなかったと胸をなでおろす。玄関先や駐車場に亀裂が走ったという施設もある。

 新型コロナウイルス禍の中で、どう避難先を確保するかは感染防止上、極めて重要である。旅館・ホテルも注意を払う必要があるだろう。

 災害救助活動や地域防災活動などに取り組むNPO法人のレスキューストックヤードは民放の取材で、さまざまな場所に分散して避難する「分散避難」を説いた。

 一つの空間に大人数が集まることで「密」が発生、クラスター化の恐れがあるからだ。分散避難先候補として、旅館・ホテルや公民館などを挙げている。

 準備しておきたい防災グッズは懐中電灯、ラジオ、イヤホン、スマホなどの予備バッテリー、薬、水、非常食、簡易トイレなど。マスクや消毒用アルコール、体温計、ポリ袋(使用済みマスクなどを袋に入れて密封し、ごみ箱へ)なども用意すべきだとしている。

 地震に限らず、台風や豪雨など自然災害の体験を踏まえ、日ごろ避難訓練などをしている旅館・ホテルにとっては決して目新しいことではないだろうが、コロナ禍という当時にはない状況下であるだけに、震災10年を機に、改めて非常時の備えに目を向けてほしいものだ。

 従業員への周知徹底、チェックリストの見直しなど、今だからこそできることがある。防災・減災の重要性を再認識する契機としたい。

 気象庁によると、今後も同規模の地震が再び起きる可能性がある。東北だけではない。日本列島だといつどこで起きても不思議はない。引き続き注意をしてほしい。


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