【観国之光 273】東北DC 業界挙げて支援を 本社論説委員 内井高弘


東北DCのロゴマーク。6県の「六」をモチーフに旅する人の姿を象徴化したという。背景は日の丸

 東北観光推進機構(会長、小懸方樹・JR東日本副会長)は10月31日、山形市のホテルメトロポリタン山形で、2021年4~9月に実施する大型観光企画「東北デスティネーションキャンペーン(DC)」のキャッチコピーとロゴマークを発表した。

 東日本大震災と福島第1原発事故の影響がいまだ残り、時間の経過とともにその記憶すら風化が懸念されている中で、東北DCは大きな意味を持つ。

 キャッチコピーとロゴマークが決まったというだけなら、マスコミへニュースリリースを出せばいいだけの話だ。が、この日は自治体の首長らが発表記者会見に臨み、意気込みを語った。それだけDCに懸ける思いの強さが表れている。

 震災以降、日本のどこかで毎年のように自然災害が起こり、尊い命や住む家をなくし、途方に暮れる人たちが出てくる。「悲惨な目にあっているのは東北だけではない」という意見も耳にするが、東日本大震災は日本がかつて経験したことのない未曽有の自然災害であり、かつ原発事故という、先が見えない深刻な事態を抱えている、レアなケースである。また、自然災害からの復旧・復興に日本という国はどうあるべきなのかという問題を突き付けているように思えてならない。

 さて、6県でのDCは旧国鉄時代の1985年、東北新幹線の上野―盛岡間開通を記念して開催された以来で、実に36年ぶり。JR発足後初めてとなる。DCの実施期間は通常単県で3カ月だが、6カ月という長期間もまた初めてだ。

 21年は震災から10年の節目に当たる。国の復興・創生期間(16~20年度)の終了直後に“オール東北”で魅力を発信し、全国にアピールする。インバウンドを含めた交流人口の拡大も目指す。

 キャッチコピーは「巡るたび、出会う旅。東北」。ロゴマークは「六」をモチーフに旅する人の姿を象徴化。また、DCで初めて、訪日客向けキャッチフレーズ「VISIT TOHOKU、FIND JAPAN。」も制作した。
 小懸会長は「観光コンテンツやサービスに付加価値を付け、観光消費の拡大を図る。観光の新たな基盤作りにも取り組む」と意気込みを示している。

 年度内に取り組み内容を検討し、来年6月に仙台で全国宣伝販売促進会議を開く予定だ。

 キャンペーンエリアが広いため、効果が薄れるのではという見方もあるが、各県独自の取り組みと東北全体での取り組みが相乗効果を生むよう、知恵と工夫、協力体制が求められる。東北観光の新たなステージに向け、観光業界挙げて、協力、支援しよう。


東北DCのロゴマーク。6県の「六」をモチーフに旅する人の姿を象徴化したという。背景は日の丸

 
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