インターネットを見ていて気になる話題があった。旅館の清掃係による「チェックアウトの時は、布団は畳まないでそのまんま出てください」というツイートだ。
テレビの情報番組でも取り上げられており、ご存じの方も多いだろう。このツイートは拡散され、数万件のリツイートがあったとされる。
ツイートは続く。「丁寧に畳んでくださっている方がいらっしゃいますが、布団に挟まった忘れ物チェックと畳みなおしで、二度手間になります」と。
乱れた布団をそのままにして部屋を出るのは気が引ける。きっちりと畳まないまでも、ある程度は整えてしまう人も多かろう。清掃係の手間が省ければ、という多少の親切心もないとはいえない。中には「帰り支度の際、邪魔だから畳む」という人もいよう。
情報番組のコメンテーター(タレント)は「旅館に泊まった時、旅館の人に『あの人は畳まなかった』と実名を挙げて言われたことがあったので、必ず畳むようにしている」と話していた。
清掃係のツイートに対しては「目からうろこ」「そうだったのか、知らなかった」「納得した」など、多くの反響が寄せられている。
布団の片付け方は、(1)布団を広げシーツをはがす(2)忘れ物がないか確認して再び畳む―という手順で行う。宿泊客が畳むと「広げる」というひと手間が加わることになる。短時間で客室の片付けをしなければならない清掃係にとって大きな負担になる。
1カ所に複数組の布団を畳んで重ねる人もいるが、これだと1枚ずつ広げてセットするように置かなければならないので、余計な労力を強いることになるとか。
ツイートに対し、旅館・ホテルで働く人もコメントを寄せ、「全くその通り」「よく言ってくれた」という賛同のコメントも少なくなかった。
旅館の女将は「お客さまの気遣いはとてもうれしい。でもそんな気遣いは無用です。ゆっくりとお過ごしいただけたら何よりです」と話す。
宿泊客に対し「布団を畳まないで」とはなかなか言えないだろう。「案内の時に言えばいいのでは」「インフォメーションブックに書いておけば」などの意見もあるのだが。
「自分の使ったものは自分で片付ける」といわれて育った人は多く、日本人の美徳の一つともなっている。海外でも評価の高い日本人のマナーの良さはこれも要因の一つだろう。
他人をおもんばかる心はなくしてほしくはないが、「ありがた迷惑」という言葉もある。一連のツイートはささいな話題なのだが、とても日本人的である。ちょっと考えさせられた。
あなたは布団を畳みますか?(写真と本文は関係ありません)