【観国之光 242】北海道地震再び 観光への影響を懸念 本社論説委員 内井高弘


これから北海道は観光のベストシーズンを迎える。地震の影響もない。足を運んで道を元気にしよう(美しさが際立つ富良野のラベンダー)

 「またか!」。2月21日夜、北海道の胆振地方中東部を震源とする地震が起こったというニュース速報を見た多くの人はこんな思いにかられたのではないか。昨年9月の恐怖がよみがえった道民も多かったろう。

 厚真町で最大震度6弱を観測した。全体で6人の軽傷者が出て、住宅の一部損壊もあったが、住民避難もなく、昨年9月の地震時のようなブラックアウト(全域停電)も起きず、大きな被害がなかったのは何よりだ。

 ただ、大きな地震に襲われた被災者のやり切れない気持ちは察するに余りある。軽々しく「元気を出して」とは言えない…。

 道庁によると、2月25日現在、JR北海道や札幌市営地下鉄は通常運行しており、国道や高速道も通行止めはない。空港も通常運航だ。厚真町の断水も23日午後6時に復旧している。道内の企業、自治体も対応に追われたが、前回の地震を教訓に対応を進めてきたこともあり、大きな混乱は見られなかったという。

 ただ、前回の地震から半年もたたないうちの強い地震だけに、観光への影響が懸念される。客足が回復傾向を見せているだけに、「北海道旅行の意欲減退につながらないか気が気ではない」という声も出ている。

 道庁は2月22日、「北海道観光をお考えの皆様へ」と題するメッセージを出した。

 「2月21日に胆振地方中東部で地震が発生しましたが、北海道を旅行される方の移動や滞在に支障はありませんので、安心して旅をお楽しみいただけます」という内容で、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語版も作り、外国人向けに活用するよう呼び掛けている。

 観光業界も風評被害が出ないよう、正確な情報発信に努めてもらい、ぜひ旅行需要を喚起してほしい。

 北海道の観光復興を担っているのが昨年10月に始まった「北海道ふっこう割」だ。利用は3月までだが、大きな役割を果たしているだけに、効果と問題点を検証し、今後の自然災害時に生かすべきだ。

 一部報道によると、10~12月の期間、約26億円が宿泊や旅行商品の割引に利用されたという。ふっこう割を用いて宿泊したのは約59万人で、その6割強が札幌市など道央だった。今年に入り、訪日客の利用が伸びており、利用額は大幅に伸びる見通しという。

 昨年は地震や豪雨など自然災害がとても多く、観光のみならず、各方面に大きな被害が出た。今年も油断はできない。防災・減災の取り組みが欠かせず、過去の経験を生かして被害を最小限にとどめてほしい。

これから北海道は観光のベストシーズンを迎える。地震の影響もない。足を運んで道を元気にしよう(美しさが際立つ富良野のラベンダー)

 
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